~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H18.9.25記》
■ 平成18年度学科合格者発表で思うこと


平成18年度の設計製図試験が迫ってきました。 製図設計試験に先立って、製図試験受験者を決める学科試験の発表が去る9月12日に行われまし たが、その結果には唖然とさせられましたね。 試験問題の内容が従来の傾向から大きく変更され、今年の問題は難しかったとの声を随分と聞かさ れましたし、昨年の耐震偽装に関わった姉歯建築士の件などを考えると、今年は厳しくなるぞとの 心配が現実のものとなりました。 参考にまで近年の学科試験の傾向を示すと下記のようになります。        平成11年   12年   13年   14年   15年   16年   17年   18年 学科受験数  57,431  56,389↓ 54,210↓ 53,908↓ 51,283↓ 47,305↓ 41,907↓ 40,950↓ 学科合格数  10,419  10,302↓ 6,880↓ 5,716↓ 7,430↑ 11,904↑ 10,464↓  4,099↓ 学科合格率  18.14%  18.27%  12.69%  10.6 % 14.49% 25.16% 24.97% 10.01% 平成12年までは約1万人の合格者で安定した数字を示していましたが、平成13年に一度激変が 起こりました。建築士の試験は毎年〇〇人合格と枠を決めていた相対試験から、或る基準の技量を 持った人は合格させるとの方針で絶対試験に変わったのです。 13年以降2年間は受験者の約1割前後に押さえられた数字を示していましたが、又突然平成16 年から昨年まで、1万人を超える合格者になりました。数字だけを見れば、12年の頃に戻っただ けとも言えますが、受験者数はその後減り続けたので合格率で見ると25%と言う高い数字になり ます。合格者が増えることは受験者に取っては良いことですが、急激な変化はその後色々な影響を 与えました。下の数字をみて下さい。 設計製図試験の結果をまとめたものです。ご存じのように一級建築士の試験制度は、学科合格者は 2ヶ年に渡って製図試験を受験することが出来ます。一度製図試験に失敗しても、次年度にもう一 度製図試験にチャレンジできるのです。 13年度の激変は製図試験にも表れました。ところが、学科試験の方は16年から大幅に増加した のに、製図試験合格者は大幅には回復してません。従って、次年度繰り越し受験者が大幅に増加し てしまいました。        平成11年   12年   13年   14年   15年   16年   17年   18年 製図受験数  16,160   15,971  12,480  10,203  11,100  16,313  18,322  11,818 (初年+角番) 製図合格数 7,374   7,074↓  4,120↓  3,733↓  4,477↑ 5,470↑ 5,548↑ ( 3,550)?   製図合格率  45.6%   44.3% ↓ 33.0% ↓ 36.6% ↑ 40.3% ↑ 33.5% ↓ 30.3% ↓ (30.0% )?     一級合格率  11.5%    11.4%   6.9%   6.4%   8.1%   10.5%   11.1%   ( 7.3% )?       (合格/学+製) 次年受験数  3,274    3,079   3,726   3,882   4,795  8,259 7,719    ? 今年の製図試験の受験者は、11,818人と予想されます。昨年の製図試験の合格率から30%とする と、約3,550人の合格者数となります。13年に激変した頃に戻ることでしょうね。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【変わる建築士制度−受験資格】 昨年発覚した姉歯建築士事件は、建築士制度まで影響を与えました。 本来建築士の資格は、建築設計に従事する人、及び設計監理の業務に携わる人に対して与える資格 です。ところが、設計や設計監理に携わらなくても、建築関係の最高資格と言うことで資格を得よ うとする人が多いのが現実です。 日頃設計や設計監理に携わっていないと、資格を得た時には有ったであろう技量も当然落ちてきま す。しかし、一度得た資格は、何か不祥事を起こさない限り失う事は有りません。 建築士の質が問題になった姉歯事件は、このような建築士の現状を根本から見直し、受験資格を本 来の主旨に沿って設計、設計監理の実務経験に限るように変更されそうです。 そうなると、試験はより専門性の高いものになってくるでしょう。 今年製図試験を受験される方は、是が非でも合格したいところですね。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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