~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H20.2.12記》
                                     《H20.2.17追記》

■ 平成20年度設計製図試験対策−1


平成19年度一級建築士試験に合格された方々は、おめでとう御座います。残念ながら、努力の甲斐 なく不合格になった方々は、既に気持ちを切り替えて今年の受験に向けて決意も新たにされているこ とと思います。 「E&A」では、設計製図に関して支援ページを設けて受験者の皆様を支援しています。 設計製図はまだ先の事と思っている皆さん、そんなに甘くないですよ。 設計製図試験合格は、日頃の積み重ねによるものだからです。資格学校の設計製図の授業も、もうす ぐ始まるようです。皆様も手遅れにならないようにしたいですね。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 今日は、試験元から発表された昨年の試験の標準解答例を検証することから対策の第一歩とします。 H19年度の課題は、今後採用される構造建築士・設備建築士を意識してか、構造・設備に関しては設 計者自らの判断で決定していくという、これまでにない課題だったのでその結果が非常に注目されま した。 例年通り2案の標準解答例が発表されましたが、意外だったのは混構造や短スパン、プレストレスト 梁の採用です。 建物の規模や用途から見て、2案ともあえて特殊な工法を採用した案を発表したことに、出題元の狙 いが何であるのか測りかねます。せめて1案はRCの純ラーメンで良かったのでは無いだろうか。 構造の選択を受験者に任せた割には、ご都合で何でも有りとなってしまってます。構造の基本構想を 立てた上での構造選択でなく、後付け的な構造選択は結果的に構造を軽視したことにならないだろう か。特に、木造建築の様に安易に柱を設け短スパンにした解答例Aは、受験者に誤ったメッセージを 送ることにならないだろうか心配です。 受験者にとって標準解答例は最良案でないと理解してても、試験元が減点になった点を公表しないた め、「〇〇年の標準解答例では〇〇となっていた。」と全ての内容が合格案として肯定的に理解され がちです。それだけに標準解答例の内容は大きな影響を与えます。 標準解答例を発表するようになったことは大きな前進ではありますが、標準解答例が誤ったメッセー ジを発したままでは良いことではない。今後は、試験元は標準解答例に対するコメントも同時に提供 されることを熱望します。 「標準解答例は、〇〇に於いては〇〇な欠点もあり、△△に於いて管理に疑問もある。◇◇の部分の  動線には無理も見られるが、概ねゾーニング、動線を考量した計画で出題意図を守って計画されて  いる。」など。 受験者も、最終的に概ね建築としてまとまった計画であれば合格できることを認識すべきで、余り細 部を気にすると全体を見失ってしまうのでご注意! これ迄の試験は、与えられた条件の中で全てを受け身となり、設計を機械的な作業としてきた様な気 がしてなりません。今年の課題の特徴である構造・設備の選択を受験者に任せたことは、設計の試験 を実際の業務に少しだけでも近づけたと評価したい。 それにしても解答例発表も5回目となると、解答例を見る側も第1回目と違って変わって来たように 感じます。 第1回目の発表の時は、「こんな解答例を良く発表したな。」とか、「ここがおかしい!あそこも変 だ!」と姦しい限りだった。 しかし、回を重ねるに従って、標準解答例は模範解答ではなく、合格レベルを示す解答例で有ること が理解されるようになってきたようだ。 (「E&A」が発表する解答例に対しても、同じような意見が有りました。模範ではないのです。) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆平成19年度設計製図検証◆ 今回の発表では減点、欠点項目を公表してないので、「E&A」が勝手に突っ込みを入れて見ようか と思う。 まず、下の標準解答例@とAはプリントできないので、あらかじめこの文章をプリントアウトして、 標準解答例と見比べながら読むと良いですよ。 ←クリック 標準解答例@ ←クリック 標準解答例A 【H19年度課題の特徴】 1.構造、設備については設計者が設定する。   →H19年の課題の最大の特徴。計画に縛りが少なく楽に展開したようだが、良く理解をしてい    ないと大きな減点となったようだ。     2.真北の方位が振れていた。   →昨年に続いての方位の振れだったが、昨年と今年は少し扱いが違っていた。    昨年は集合住宅だったので日照に対する配慮が問われたが、今年の場合の方位の振れは標準解    答例@で見られるように、考慮は必要なかったようだ。    託児室や子どものプレイルームが有るので日照を配慮しなくてはいけないかなと思ったが、出    題元の考えは、これらの託児施設は子を持つ親のコミュニティーのための利便的施設であり、    保育所や託児所と違い、一時的で短期的な施設なので日照までの配慮は不要としたのだろう。    実際、多くの受験者は「託児所⇒日照の配慮」として計画したようだが、合否に影響は無かっ    たようだ。    噴水広場についても同じ扱いのようだ。多くの受験者が南の角に広場を配置したにもかかわら    ず、合否に優位性は見られなかったようだ。それよりも、南の角に配置をすることでゾーニン    グに苦労をし、建物としてまとめ辛かった人には災いをしたようだ。       3.道路条件が、単純でなかった。   →2面道路に遊歩道が加わり、更に車利用者が隣地の公共駐車場という設定は、アプローチ条件    を複雑にさせた。しかし、ほとんどの受験者は単純に2面道路として取り組んだようだ。    解答例@Aとも隣地の公共駐車場からのアプローチは無かったが、職員ならともかく利用者が    利用する駐車場であるなら、何らかのアプローチは設計者としては考慮したいところだ。    実際、駐車場からのアプローチを考慮した数少ない受験者の合格率が高かったことは救われる    思いだ。しかし、遊歩道からのアプローチに対しては考慮してもしなくても大差が無かったよ    うだ。私自身は遊歩道からのアプローチを考慮したが、たしかに、歩いて来る人を直接アプロ    ーチさせる程の必要性は無い。少々遠回りして貰っても50歩100歩か。 4.子育て支援部門が下足を脱いでの利用。   →今回の試験で下足を脱いで利用する部分に斜めハッチで表現することを要求された。    これまでにもハッチを表示させる試験は有ったので、対策を積んだ受験者にとっては慌てなか    ったと思う。    多くの受験者は何故ハッチを書かせるのか、出題者の意図を意識したと思う。単純にゾーニン    グを把握し易いためなのかどうか。裸足や上足と関係するのか?と。・・・    解答例には2案とも設置されているが、子育て支援部門の便所をどうするかが頭に浮かぶとこ    ろだが、現実には、半数以上の受験者は考慮してなく、設けても設けなくても合否に大差はな    かったようだ。    これは試験だから、所要室に書かれていないから設けなくても良いとする考えもあったからだ    ろう。しかし、設計製図の試験がより実務的になってくるとの予感から、標準解答例に2案と    も設置してあることは今後の方向を表してないだろうか。 5.計画の要点の記述。                       《'08.2.17追記》   →これまでの試験でも記述は何度か有った。H18年度も「構造計画に関して配慮したこと」、    「設備計画に関して配慮したこと」を要求している。2年続けてと言うのは珍しい事だ。    しかし、一級建築士制度は、姉歯構造捏造事件以来大きく変わろうとしている。そう言う環境    の中に有って建築士試験も当然影響を受ける。    本来、事件は一部の悪徳無責任建築士と一部の施主によってもたらせられたものだが、「要因    は、設計業務が専門分野毎に分化しており、設計をまとめる建築士がそれらを充分に把握でき    ていないことにある。」としたことによる。    今後、構造建築士、設備建築士の新たな創設とともに、建築士の資質の高度化は当然の流れだ    ろう。だから、建築士の試験も、建築士の資質がより専門的に高度化を狙って行われるだろう。 第165回国会提出法案概要    建築士資格には此までも色々と問題点は有った。    本来建築士資格は、建築設計と設計監理を行うものに与えられる国家資格だ。ところが、現在    での建築界での最高峰の資格と言うこともあり、設計・監理の業務に関係ない他の建築関係者    や、他の業種の人までもが多く受験しているのも事実だ。    勢い試験は難易度が上がり、試験元も色んな条件を付けて振るいに掛けようとしてきた。この    ことは、設計製図試験が、課題を設計すると言うよりもパズルを解くがごときの試験になった    のは否めない。結果、難関の試験には合格したけれど経験も実力(設計の発想を持たない)も    ない建築士が多く誕生したのも問題だ。    H21年度試験から受験資格がより厳密になってくる。これらのことから、受験対策は、より    実践に即した対応が望まれる。資格学校などで教える短時間に対応したエスキス手法などは非    常に有効だが、それだけでは充分でない。手法プラス次のことが重要になってくる。    1.設計に対する設計者の意志(考え)を持つこと。    2.教科書での知識だけでなく、実物の建物を良く知り、イメージ出来ること。    例年の記述解答は、平成18年度を含み合否に対してさほど影響しなかったが、今年の記述は    合否に大きく影響したと言って良いだろう。    どのような考えを持って設計に取り組んだかが、重要な要素となってきている。勿論言葉だけ    で上滑った記述では点は貰えない。記述文と作図が一致してこそ評価されるのは当然のことだ。    H19年の要求図面等の中の計画の要点等の記述には、試験元が求めていた事柄が集約されて    いると言っていい。これだけはっきりとした要求に対しては、当然文章と作図でもって答えて    いく必要があったと言える。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆設計製図の課題発表までにまだ日数がありますが、気が付いたことを順次お送りしようと思います。  次回は、計画の要点の記述についてもう少し詳しく述べたいと思います。 ◆「E&A」からお願い。建築士受験者サポートはアフィリエイト収益でお送りしています。 最後に、アフィリエイト・コーナーをアクティブにして、どれかクリックして帰ってネ。
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