~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H23.09.01記》

■ 平成23年度設計製図試験対策−4の3


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆介護老人保健施設(老健施設)の設備−3  今回は安心安全のための消防設備について検討しよう。 老健施設は身体の不自由な人を収容しているのだから、消防設備が厳しいのは当たり前のことだ。 A.規模に関係なく設置が義務付けられているもの。   1.自動火災報知設備  2.消火器  B.規模により設置が義務づけされているもの。   1.スプリンクラー:延面積275u以上  2.屋内消火栓設備 :700u(耐火1000u)  1)自動火災報知設備  自動火災報知設備とは、感知器が熱や煙を感知し、受信機に火災信号を送りる。受信機は、警報を発  すると共に火災発生区域を表示し、自動的にベルなどを鳴動させ建物内にいる人に火災の発生を知ら  せる設備だ。  受信機は火災の信号を受信すると警報ベルを鳴らすだけでなく、防火戸などへ自動閉鎖信号を送り、  火災の拡大を防止するなど、防災への次の手を打つ働きをする。  発信機・感知器・受信機・表示灯・警報ベルから構成される。                  ┌───┐                     発信器(押しボタン)→→│ 受 │                  │   │→→→→警報ベル・表示灯      感知器(煙)→→→→→→│ 信 │                  │   │→→→→防災設備(防火戸・排煙装置など)      感知器(熱)→→→→→→│ 機 │                  │↓ ↓│→→→→外部防災機関(警備会社・消防所など)      感知器(炎)→→→→→→│警 表│                             │報 示│→→→→(非常放送) └───┘  ●感知器   感知器には、@煙を感知するもの A熱を感知するもの B炎を感知するものが有り、適材適所で   使われないと誤報を発したりして十分な働きをしない。   作図としては重要でないが、計画の要点の記述には役に立つかも?   @煙を感知するもの・・・いち早く火災を感知でき一般的な感知器だが、火災以外の煙などで感知               することも多く、使用場所を選ぶ。               光電式スポット型感知器と光電式分離型感知の2種類がある。   A熱を感知するもの・・・温度の上昇に反応して火災を感知するので、煙よりも反応が遅い。火災               でなくても温度が上昇すると反応するため、厨房など換気を充分にしな               いと誤作動する場合が有る。               差動式スポット型感知器と定温式スポット型感知器の2種類がある。   B炎を感知するもの・・・火災のときに発生する紫外線や赤外線が一定の量以上になった場合に               感知する。炎が大きくなって初めて感知するために遅くなるが、誤報               は少なくなる。               紫外線式スポット型感知器と赤外線式スポット型感知器の2種類が有る。 2)スプリンクラー設備  少し大がかりな設備になるが、以下の基準を全て満足すれば設置しなくても良くなる。  スプリンクラーは初期消火には大変有効だが、一旦放水すると消火後の後始末は大変だ。  また、誤作動の問題やパニックを考えると、以下の項目を守りできるだけ緩和したいところだ。 ・建物の基準による特例措置(全ての用件を満たす場合、スプリンクラーの設置が免除される。)  イ.居室を準耐火構造の壁及び床で区画。  ロ.室内に面する壁・天井・外までの廊下・通路は準不燃材、その他の部分は難燃材。  ハ.区画する壁及び床の開口部の面積の合計が8u以下かつ、ひとつの開口部の面積が4u以下。  二.ハの開口部は防火戸で随時開けることができる自動閉鎖装置付または次の構造による。    ・随時閉鎖でき煙感知器の作動と連動閉鎖    ・居室からから外へ出る廊下には直接手で開く事ができ、かつ自動で閉鎖できる部分を有し、     その部分の幅が75p以上、高さ1.8m以上、床面から15p以下であること  ホ.区画された部分すべての床面積が100u以下であり、区画された部分に4部屋以上がはいってい    ないこと  どの項目も守れそうだが、ホ.の100uが少しネックかな?食堂とかデイケアルームが100uで納まれ  ばいいのだが。実在する老健施設では、食堂は1ヶ所にまとめるのでなく、分散している事が多い。  別に緩和規定を適用したためでなく、移動距離を短くするためと、小グループでのコミュニティーや  機能回復訓練が適していると考えての事と考えられる。そう考えると、あえて 100uを超える居室は  必要ないのかも知れない。 3)屋内消火栓設備  屋内消火栓は、2人以上で操作する1号消火栓と1人で消火できる2号消火栓に分かれており、それ  ぞれ1基が受け持つ防護範囲が決まっている。  1号消火栓では25m、2号消火栓では15m以下の距離でその階の全ての床面積が包含できるよう配置。  設置場所は階の出入り口や階段の近くで、消火活動に便利な所が好ましく、複数階ある場合は、なる  べく同位置にした方が縦配管の関係で良い。  水源の水量は、屋内消火栓の設置個数に(2を超える場合は2)1号消火栓は2.6?、2号消火栓は1.2?  を乗じた量以上を確保する。最大で 2×2.6=5.2?となる。  水の収納は、受水槽のように水槽を用意するのでなく、基礎を利用して地下ピットにすれば良い。  断面図に2重スラブで表現すれば、ピットになる。  2重スラブのピットは、屋内消火栓設備の他、雨水を利用した節水のための雨水貯蔵や夜間電気を利  用した氷蓄熱などにも利用され省エネルギー対策に有効なので、建物の基礎は2重スラブの底盤方式  が望ましい。                                  スラブ      ││_________________________/      │┌────┐┌────┐┌────┐┌────┐┌─      ││    └┘    ││    └┘    ││      ││   ピット    ││          ││      │└──────────┘└──────────┘└─         └─────┬────────────────────            └基礎底盤 新試験制度になってから消防法の関連は出題されていない。建築士は国土交通省管轄で、消防法関連  は総務省管轄なので預かり知らぬって事かも。最も新制度になってから僅か2度の試験でのことだ。  3回目の今年は、・・・やはり無いなぁ。その内縦割り行政が改善されたら有るかも。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆計画の要点の記述は、作図で表しきれない事項など書くこともある。作図に表現されないからと疎か  にせず、老健施設を考える上で重要なことは一応学習しておこう。
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