~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H24.09.14記》

■ 平成24年度設計製図試験対策−5


前回は図書館を考えてみた。今回は付属する小ホールについて考えてみよう。 小ホールと言っても段床付きホールだから少しややこしい。イメージは映画館や音楽堂などで緩やかな 段床を経験しているだろうから分かるだろう。分からないのは図書館と同じく裏方の普段我々が目にし ない部分だ。どのような所要室があるか探ってみよう ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆小ホール 小ホールと言っても、まず規模が気に掛かる。それによって付属する所要室が違ってくるからだ。また、 用途的にも図書館に付属する映像シアターを少し大きくした物なのか、図書館とは全く別運営される物 かで計画に扱いは違ってくる。 ここでは、一応規模に関係なく考えられる所要室を揚げてみよう。 【図書館の所要室】  (1) 舞    台 :講演者が講演したり、演技者が演ずる部分で観客席から良く見えるように一段高   (ステージ)  くなった部分。本格的な舞台になるに従って舞台の奥行きも広く、何重にも幕で           仕切られる。 ・舞 台(規模が大きな場合で、小ホールはここまで大掛かりではない。参考知識として。)  (2) 客    席 :舞台を見やすくするために、前の席より後ろの席が少しずつ高くなる。   (段床形式)  ・参考写真           実際の座席ピッチは900〜1,000に対して幅は450〜500程度だが、           作図のことを考えると、方眼に沿って1,000ピッチ、幅500とした方が良           い。指定座席が確保できないときは、最低800ピッチまで詰められると覚えて           おこう。最低通路幅は中間通路で800、片側通路で600程度だが、これも方           眼に沿って通路は1,000とした方が作図上良い。           段差の勾配は、舞台の高さと舞台からの距離によるが、試験では深刻に考えなく           ても良い。参考図から感覚的に掴んでおけば良いのでは。           ・参考写真           躯体の考え方を整理しておきたい。課題が固定席を条件にしたら、コンクリート           スラブで段差を考えた方が良さそうだ。           固定も移動も明記がなければスラブをフラットにして多目的ホール用の移動式席           を考えても良いのだろう。計画の主旨にも使えそう。・・・(多目的に使用でき           るようスラブをフラットにし、移動式の席とした。etc)           いずれにしても、両方対応が出来るようにしたい。 ・階段状スラブ参考図8ページ           ・フラットスラブ参考図           ・収納椅子席参考写真  (3) 車いす席  :車いす利用者が車いすに乗ったまま観覧できるスペース。           小ホールの場合は最前列か最後列に設けられることが多い。いずれにしても避難           を第1に考えて、一般階と同一レベルに車椅子席を設定する。車いす席と一般階           にレベル差が有る場合はスロープを必ず設置する。           では、後方若しくは前方の一般席と段差が生じた場合は、スロープはいるか?基           本的には欲しいところだが、実例は階段で処理しているものが多い。           スロープが取り辛かったり、プランを壊してまで無理に取ることはない。                      ・参考写真  (4) 親 子 室 :子供が小さかったりすると、大人しく観覧することが出来ない。愚図ったり、飽           きて動き回ったりしがち。これでは周りの観客に迷惑となる。また、連れていっ           た親も気が気でなく、安心して鑑賞が出来ない。そのために他の席と区画された           親子専用の席。(ちょっと見ではVIPルーム。)           ・参考写真  (5) ホワイエ  :「ホワイエ(foyer)」はフランス語、「ロビー(lobby)」は英語で、日本語で言う           ならば「たまり場」といった感じでしょうか。           フランス語の「ホワイエ」は暖炉や家族を意味する言葉でもあり、ニュアンスと           しては、人々が集まって歓談する場所、という感じかもしれません。外の世界と           劇場の中とを結ぶ通路であり、幕が上がるまでを待つ場所であり、幕間の休憩所           でもあると言えそうです。(シアターリーグ 演劇用語より)  (6) コントロール:舞台照明や映像、音響をコントロールする室。観客席の後方に位置する。管理部    ルーム    門に該当するが、小ホールでは専用通路を確保するのは難しい。  (7) 講演者控え室:講演者や出演者が出番まで待機する室。管理部門に属し、舞台に直接アプローチ           出来る位置が良い。  (8) 専 用 倉 庫 :管理部門に属し、舞台(ステージ)で使用される机、椅子、ボード等を収納する。           舞台に近接するのが望ましい。  ※ここに揚げた室は必ずしも要求されるとは限らないし、ここに揚げていない室が要求されるかも知   れない。例え初めて見る室でも、冷静に管理部門か利用者部門かを判断して進めてください。特記   事項にそのヒントが欠かれています。

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◆前回お送りしました対策−4で参考図で建物名と図面が食い違っていたことをお詫びして訂正ます。
◆試験まで1ヶ月となりました。皆さんはラストスパート体制でしょう。
 未だにプランのコツを掴めない人は、利用者や裏方の動きや流れを考えて見てください。流れに沿っ
 て素直に配置すればそんなに大きな失敗はしません。決してこの文書は引っかけかな?なんて裏を読
 み過ぎないようにしましょう。
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