~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《H25.10.04記》

■ 平成25年度設計製図試験対策−4


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆今回は、或る指導機関の一般公開模試を題材に受験者の皆さんが陥りやすい注意点を述べたいと思  います。  添付した図面と見比べながら読むと分かり易いと思います。   課題文   添削図面 某受験者の模試計画 講評                   by「E&A」    H25.10.1 この課題は階数も2層で、更に階指定もされているので計画し易い課題です。最近の本試験の傾向か らすると、本試験ではもっと縛りは緩くなり、自分で設定することになるでしょう。しかし、縛りが 緩くても特別な条件が出されない限り、結果的にはこの課題のような階分けのゾーンニングとなるで しょう。 〇〇さんの計画の第一印象から述べます。 駐車場計画が疎かになっています。従って、建物のゾーニングや動線にまで影響がでています。 計画を立てる上での優先事項が明確になっていないように感じます。優先事項を確認しましょう。 1. 敷地周辺環境からくるアプローチ計画。利用者アプローチとサービスアプローチ。 2. 建物計画の前に敷地利用計画。駐車台数が多い場合は特に駐車場計画を具体的に立てる。 あなたの計画では利用者用駐車場が分散されています。最初から駐車場を重視していれば分散するこ とは考えられません。 この課題では利用者用駐車台数は5台、サービス用が2台とかなりのスペースが必要です。これらの 台数を1カ所にまとめるか、利用者とサービスを分離するかを頭の中で描かなければなりません。 2つの道路に接道するので分離は可能です。このような場合はまず分離を考えましょう。その方が動 線の分離や建物のゾーニングがし易いからです。 敷地の特徴から1カ所にまとめることも可能です。まず、敷地が南北に細長いこと。更に道路付きが 平行な2つの道路に挟まれていること。これらの事から敷地の北側にまとめて取ることも可能です。 この段階で大雑把な検討してみてください。最終的には面積で方向が決まるでしょう。場合によって は一部ピロティに成るかもしれません。 次に、課題条件を読んだ段階で少なくとも以下の部門の相関関係は描きましょう。 利用者駐車場 → メインエントランス → エントランスホール                     (ニュートラルゾーン)                      ↓   ↓   ↓                      ↓   EV   ↓            プラザ ←→ 研修部門   ↓   管理部門 ← サービス                         宿泊部門         駐車場 それぞれの部門は1つにまとまり、分断されたり混じり合わないように注意しましょう。原則は、或 る部門から他の部門に行くときはニュートラルゾーンを経由して行く事です。同じ部門なのにニュー トラルゾーンを経由しなければ他の室に行けないようでは、ゾーニングが上手くいっていないと言う ことです。(H24年度エスキスの進め方を参照してください。) 次にプラザの取り方ですが、まとまったスペースと言うことで南東の好立地にほぼ正方形に計画しま したね。そのために1階も2階も欠けたような形状になりました。別に悪くはないのですが、建物の 形が歪になれば成るだけ、建物の計画は難しくなります。私なら以下の点からプラザを南に細長く配 置するところから始めます。 1.建物はできるだけ整形(矩形)に成るよう努める。 2.直径8m以上の円が1つ入るまとまったスペースを考えたとき、「まとまった」を重視すれば   正方形がベター。しかし、上記の1の建物を整形にしたいとの想いが強ければ、8mの円が入   るという条件は、最低でも8m幅でOKと取れる。 3.周辺環境は東の渓流側はもちろん、南側も公園で開けており、非常に良い環境と思われる。 計画に当たっては、いきなり建物計画から始まるのでなく、少なくとも以上の事柄を整理してから進 めてください。初期の構想が重要です。この時の構想は、面積に裏打ちされたものでなければ成りま せん。イメージスケールからどの位のボリュームが建ち、許容面積内に納まることをチェックしなが ら進めてください。 建物内部の講評  1.食堂が隅に追いやられた感じがします。周辺環境との関係も渓流側に開口を設けてあるものの    ゴミ置き場が有ったり、北側旅館側に大きく開口を設けたり、課題にない休憩室を隣地側に設    けたりして、北側に対して考え違いしているよう見えます。北側隣地は決して良好な環境とは    言い難いですよ。  2.2階の多目的室も1.と同様好ましくないです。ラウンジは南に面した立地ですが、宿泊室A    と直角は位置になり、視線等から避けたいものです。  3.ゼミ室がエントランスホールで分断されています。一まとめにしたいですね  4.ホワイエ、休憩室など課題にない室がみられます。その他必要と思われる室等は適宜計画した    のでしょうが、設けるならケチが付かないようにしないと、スペース埋めのため安易に設けた    と思われ、印象を悪くする恐れはありますよ。  5.計画の要点に書かれたように、食堂までの通路を広く計画して良いと思います。であれば、事    務室のカウンターはこの広い通路に面した分かりやすい位置にした方が良いでしょう。  6.設備室が小さいように思います。浴室が有るし給水も受水層です。設備室はH23年度の介護    老人保健施設の課題で取り上げました。もちろん規模によっても異なりますが、参考にして下    さい。 今後、是非プラザを南に駐車場を北に設けた構想で計画してみてください。 E&Aが作成した回答図面(エスキス)   回答図面  ※これだけ宿泊室が多いと、ホテルやH23年度の介護老人保健施設のように宿泊室がスパン割の   決め手になることが多い。今回は間口3m、6mを指定していたので素直に6mで設定してみた。   結果、イメージ通りに進んだ。当初バルコニーを1.5mに設定していたが、建築面積計算でオー   バーが発覚したので、あわてて1.2mに削った。建坪率60%の時の怖さを味わったところだ。   皆さんもご注意あれ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆エスキスの仕方は今年はお送りしません。課題は違っても例年と同じだからです。エスキスの仕方  はH24年度で扱っていますので参考にして下さい。 ◆課題には特徴があります。機械的に反応するのでなく、敷地の状況などを注意深く観察して全体の  構想を立ててみて下さい。
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