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◆◇◆ ☆建築雑知識 004号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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前回は、建築基準法なども引き合いに出してコチコチの内容でしたね。でも、基準
は「知って貰った方がいいかなぁ」と思いあえて取り上げました。
構造に関しては建物の骨組みですから大切ですよね。
先週末も、「中古の店舗を購入したいが大丈夫だろうか?」との相談が有りました。
その建物は一部が増築され、その部分を不安に感じられたのです。
不動産のパンフレット用の間取りを見せられたのですが、確かに間口が広く不安定
な感じです。
良くある「大丈夫?」の相談は大抵の場合、漠然とした「大丈夫?」ですね。
絶対の大丈夫を期待されているのか、いつ来るか分からない地震の事は置いといて
普段の物を支えるだけの大丈夫なのかはっきりしません。
「今の基準に対して大丈夫?」と聞かれると即答しやすいのですが、大抵の場合は
基準の事もご存じないし、説明しても「????」が多いのです。
このケースも、詳細を見なければ分からないことですが、目で見た感じで不安を感
じるようでしたら何らかの補強は必要でしょう。一般の方でも、見た目のバランス
感覚は正しいですね。それは、知らず知らずの内に身に付いた感覚だと思います。
外国に行かれて、建物の柱がやたらと細いなと感じられたことは有りませんか。
地震のない国での基準は、揺れに対する強度が必要ないからです。地震のない国の
人たちの感覚と我々の構造に対するバランス感覚は自ずと違ってきてます。
我が国も地震さえなければ、単純にものを支える力だけを考えれば済みますので、
柱はもっと細く、数ももっと少なくすることができ、バランス感覚もきっと違った
ものになったでしょうね。
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■住宅性能表示の評価基準 (1) 構造の安定−その2■
《台 風》
強風は日本に限らず、世界のどの国でも年に何回かは経験することだと思います。
でも、地震を想定した日本の建物構造は、台風に対してはまず大丈夫です。
風の力の特徴は正面から強い風を受けた場合、その反対の裏側では引っ張る力が働
いていることです。
台風の被害は大抵の場合、この引っ張られる力での被
害です。屋根が小屋組ごと飛ばされる事がありますが、
←/\← 屋根を止めている部分が引っぱられる力に負けたので
引 ←/ \← 圧 す。
張←/ \←縮 昔の古い木造家屋の屋根は、瓦と土で自ら重くするこ
力←│┌┐ │←力 とで引っ張られる力に抵抗していました。
←│││ │← 屋根を重くすることは、頭でっかちになり、地震の時
──┴┴┴──┴────は不利になりますので、屋根を重くする方法は次第に
少なくなってきましたね。
最近の住宅で良く用いられる屋根材で、カラーベストが有ります。カラ−ベストは
1枚1枚 釘で止めていきますが、普通の釘だと引っぱる力に弱いため、引っぱる
力に出来るだけ抵抗するようにネジ状になったスクリュー釘が使われます。
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《荷 重》
建物の構造での基本は、物を支える力ですね。
支える物には、まず建物自身の荷重に、中に納める荷物や人々の荷重が有ります。
それに、暖かい地方の方には思い浮かばないのですが、雪の重みです。
豪雪地帯での基準はこの雪の重みも計算に考慮するようになっています。
雪はふわっとして軽そうですが、豪雪地帯での雪は来る日も来る日も新しい雪が降
り積もり、圧縮されて氷の固まりが屋根に乗っているような物です。
この雪の荷重をまともに計算に考慮すると、とんでも無い物になるので、雪下ろし
の習慣の有る地方では、想定荷重を低減できる規定が有ります。
一晩のドカ雪で、雪下ろしが間に合わなくて屋根がつぶれるケースも有りますので、
雪国の皆様は大変だと思います。
雪国でなくとも要注意は、読書家の蔵書やピアノですね。基準は一般の住宅を想定
していますから、特に重たい物を置かれる方は事前に置く位置など検討し、補強を
しておく必要があります。
ピアノなどのように重たくて脚などで支持された物は、一点に集中荷重が掛かりま
す。一般の床材では集中荷重に耐えられるだけの厚みはありませんので、このよう
ケースでも補強必要です。
住宅での荷重は知れていますが、オフィスビルや、工場などでは想定された荷重以
上の物を搬入するケースが多くあると思います。度を超えるとたとえコンクリート
造の建物でも床にクラックが起きるだけでなく、梁そのものが折れて大きな被害が
起きますので、機器の入れ替えの時は構造チェックは必要ですね。
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【ニューヨークの世界貿易センターは積載オーバーで崩壊!】
★先の忌まわしいテロ事件で世界貿易センターが崩壊しましたが、短時間に崩壊し
た原因に衝撃の破損や、火災があげられました。
しかし、単純に考えて突然の積載荷重のオーバーが主原因の可能性が高いのです。
ジャンボジェット機本体重量 170トン
燃 料 150トン
貨 物 50トン
────────────────────────────
合 計 370トン
ジャンボジェット機の大きさ 両翼だけで 500u
胴体部分 500u(想定)
────────────────────────────
合 計 1,000u
これを1uの重さに換算すると
370tx1000/1000u =370kg/u
◆370kg/uと言う数字は、想定されない荷重が1u当たり370kgも突然増え
たことになります。事件のジェット機はジャンボでは無かったので、ジャンボの
8割としても約300kg/uになります。
これを日本のビル建築の計算基準で考えると
床計算 ・・・300/u
梁、柱計算・・・180/u
この数字から判断しても、突然の300kg/uの床荷重の増加は尋常では無かった
と言うことです。
崩壊映像で見られるように、ビルが真っ直ぐに沈んでいった事を考えると、2重チ
ューブ構造の中央の柱が重みに耐えられず挫屈し、雪崩を打ったように崩壊したも
のと考えられます。
このような異常な荷重オーバーがなく、単純な火災でしたら、日本のビルの場合で
も2時間以上も炎に曝されても持ちこたえるような構造になっています。
世界貿易センターの場合は、僅か45分ほどで崩壊したのはやはり積載荷重オーバ
ーが主要因と考えられます。
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★用語の説明コーナー★
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2重チューブ構造 ・・・・・・・・・・
・ ・
高層ビルや高層マンションに採用される構造形式。 ・ ・・・・ ・
同じ間取りがいくつも重なったようなビルなどは、 ・ ・コア・ ・
中央にエレベータや階段室、パイプスペースなど ・ ・ ・ ・
の縦につながるコアと言う部分を配置し、柱はコ ・ ・・・・ ・
ア部分と外周廻りに設けオフィス空間や住戸部分 ・ ・
には柱を設けない構造。 ・・・・・・・・・・
柱の配列がコア部分と外周廻りと2重の輪になっ
ていることから2重チューブ構造と呼ばれます。 高層ビル略平面図
(・・・は柱です)
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編集発行:E&A建築企画 事務局
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