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建築知識
 
037号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            037号
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◆住宅性能表示の評価基準の「番外編」◆

性能評価の(3)では劣化に関することを、性能評価の(4)で維持管理に関すること
を述べてきました。
性能評価の(3)は主に建物の躯体の劣化に関する基準で、維持管理は設備管に関する
基準でした。ところが、私たちが最も気に掛けている外装材の劣化や、維持管理は何処
にも扱われていません。何故でしょう?

これは外装材が多種多様に渡るため評価しづらいことと、外装材は劣化しても構造材に
比べると取り替えが可能なことや、設備配管のように隠れてなくて何時でも点検や清掃
修理がが可能な為だと考えられます。

人間の身体に例えると、躯体は骨や筋肉に当たります。設備管は血管や内臓でしょうか。
肝臓が腫れ、血管がコレステロールで詰まり気味でもなかなか生活習慣は改まりません。
ところが、私たちは顔の弛みや皮膚の荒れには敏感です。
湿疹でも出ようものなら大騒ぎ。外装は皮膚のようなものですね。
確かに、顔色や、皮膚で病気を知ることもありますから、無関心ではおれません。
今週から住宅性能評価基準にないものを、「番外編」としてお送りします。

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◇【外装はお肌?】

建物にとって外装とは何でしょう?
設備が内蔵なら、外装は皮膚と言ったところでしょうか。毎日呼吸をし、衰えたら化粧
をして美しく見せる。古くなったら新陳代謝で新しく生まれ変わる。

外装材は雨、露、厳しい日差しや凍てつく寒さにさらされています。自ら表面に立つこ
とで建物を守っているのです。
では自己犠牲だけの外装材かと言うと、それだけではありません。表に現れているだけ
に、時には脚光を浴び賞賛されたこともあるでしょう。クラックなどで傷むとそれが直
接目に映るだけに傷かってもらえるでしょう。

外装材は自然の厳しい環境にさらされている反面、皆様の注目も引いている存在です。

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◇【お肌の手入れは、いつから?】

最近は小学生の内から化粧をする子を見かけます。それは肌の手入れと言うよりデコレ
ーションの意味合いが強いですね。
建物にも肌を守る為の化粧と、綺麗に見せるための化粧が有ります。

<屋根材>

・昔からの和瓦は「燻し銀色」に輝いて、年数を重ねる毎にその艶は失われるものの、
 それなりに落ち着いた雰囲気になってきます。
 和瓦は焼き物なので、品質は普遍のように思われるでしょうが、長年の厳しい温度差
 で表面に細かなヒビが入り、場合によっては表面が剥がれることもあります。
 でも、それのために雨が浸みこんで雨漏りをするところまでは行きません。
 瓦のような葺きものは、ズレによる雨漏れが一番です。

・セメント瓦は和瓦と違って表面の塗装だけでもっています。表面の塗装は芯になる素
 材とそれを保護する塗料で成り立ってますから、素材が劣化する前に表面の塗料は定
 期的塗り替えの必要が有ります。目安は10年前後でしょうが、条件によって随分違
 います。
 セメント瓦でヨーロッパの素焼き風焼きむら調のものがあります。趣があって感じが
 良いものですが、塗装替えはローラー塗装になりますので単色です。焼きむらを再現
 できる職人さんはいません。前と同じ調子の塗装替えは無理と考えて下さい。

・カラーベスト(コロニアル、スレート瓦)葺き・・・いろんな呼び方がされます。
 軽く、取り扱いも簡単なためにプレハブ住宅などで多く使われて始め、最近では住宅
 の屋根材の主流になった感じです。皆様のお宅もこれではありませんか?
 これは屋根材は製品そのものが緻密で、水が浸透し難いものです。この屋根材は工場
 の屋根などでよく見られる大波スレートと親戚です。

 工場の大波スレートは何の塗装もせずに、そのまま葺いてあります。屋根材としては
 それで十分なのですが、住宅用となると少し殺風景なので形を変え色付けをして住宅
 用に開発したものなのです。

 色付けされていますから年数が立つと色はさめますが、色がさめても屋根としての性
 能が落ちるものではありません。ただ、色がさめると外観上見苦しくなると言うだけ
 です。
 スレート屋根の塗装替えはお肌を守ると言うよりも、美しく飾り直す為の塗装替えに
 なります。

・金属屋根
 金属屋根には色々あります。素材が鉄、ステンレス、銅などなど・・・
 仕上げも焼き付け塗装、ビニール被覆、緑青(りょくしょう)などなど・・・
 形も瓦状屋根、瓦棒葺き、折板葺き、一文字葺きなどなど・・・

 瓦やスレート屋根と違って、屋根材がずれて雨漏りがすると言うことは有りません。
 金属屋根は素材が錆びたら終わりですから、仕上げ材が「命」と言ったところでしょ
 うか。
 一番の大敵は飛来物による傷。

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★用語の説明コーナー★   
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緑青(りょくしょう)・・・銅に出来る青錆。
             鉄の赤錆と違って、銅の表面に一旦緑青が出来ると、緑青
             そのものが強力な保護材となって錆が進行しない性質を持
             っていることです。
             空気が汚染された都市部では、なかなか綺麗な緑青ができ
             難く黒ずんでしまいます。そのために人工的に緑青を造り
             出した銅板も市販されています。ただ、均一で綺麗すぎる
             嫌いがありますが。          

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★編集あとがき★

台湾の「SARS」患者が、日本観光で来日していたとか。その患者は医者だと聞いて、
唖然としてしまいました。日本も、いよいよって感じですね。
マスクを掛けて外出したり、外出から帰ったら「うがい」と「手洗い」で身を守る他ほか
無いようです。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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