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◆◇◆ ☆建築雑知識 040号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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◆住宅性能表示の評価基準の「番外編」その4◆
住宅性能評価基準には無い外装仕上げ材を取り上げて、もう4回目を迎えました。
今回は前に予告して延期してました「外壁」です。
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昔の日本の外壁材は限られていました。下見板のような板張り、漆喰を塗った漆喰壁、
焼き物を漆喰で固めたナマコ壁などです。
その後西欧の建物の影響を経て、今では外装材を扱うにはどれから取り上げればいいか
迷うぐらいの種々の物があります。
昔の壁は、屋根材を葺いていたのと同じように、板を少しづつずらしながら張り上げて
いく工法でした。屋根に防水という新しい発想の屋根材が出来たように、今では壁を張
るだけでなく、壁を壁材で防水すると言うものも有ります。
【吹付け材】
・吹付け材は外壁材と言うよりも、最終仕上げの塗装材です。吹付け材の下には下地が
有りますが、この下地が本来の外壁ですね。
でも、今回は吹付け材も外壁を構成している重要な物として先に取り上げます。
・吹付け材の種類は沢山あり、分類は非常に難しくなっています。
何故難しいかと言いますと、吹付け材は芯になる基材の種類、基材同志を接着してい
る溶剤の種類が多種に渡り、それぞれが組み合わさっているからです。
・大雑把な分類として、合成樹脂系(有機質系)と無機質系に分けられます。
これは基材を元に分類した言い方です。今では吹付け材と言えば合成樹脂系が一般的
で、無機質系はその独特の仕上げ感を期待して使われます。
[無機質系]
スタッッコ状のセメント系、石状の風合いのスキン系、聚楽調のケイ酸質系などで
品質が変化しにくい反面、下地の影響を受けやすい為に下地のボードの目地割れや
コンクリートのクラックがもろに出てきます。
[合成樹脂系]
合成樹脂系は見た感じより、防水性を重視した製品と言えます。
最近では合成樹脂系の機能を持ち、無機質系の風合いを出した物も出てきてます。
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<リシン>・・・合成樹脂系、無機質系共にあり、廉価な吹付け材でポピュラーな存在。
砂粒を着色塗料と一緒に吹付けたような感じで、吹付けの厚みはほと
んど無く、砂付き塗料って感じです。
撥水機能は持ちますが防水機能までの性能は有りませんが、屋根や庇
で覆われた部分では問題は有りません。
<吹付けタイル>・・・合成樹脂系
当初の吹付けタイルはエポキシ系のボンタイルを言っていました。
ボンタイルは硬化すると固く、タイルの釉薬のような味わいがあり、
どのような形状にも施工できるタイルに代わる材料として世に出され
ました。
吹付けタイルの名はその時以来の物です。
その後コストと機能の面から改良され、種々の吹付けタイルが出てき
てます。
機能1.様々な模様が付けられるようになった。
a.吹付けガンにより大小の凹凸パターン。
b.吹付けた後ローラーで出っ張りを平滑に押さえたパターン。
c.吹付けた直後、粘着性がある内にローラーで表面を転がして造る
スチップル、梨地模様、さざ波状のパターン
(模様はローラーのタイミング、ローラーの形状、吹付け材の粘性
に依って違ってきます。)
機能2.硬化すると防水性のある膜となり、外壁を包んでしまう。
コンクリートのの宿命である収縮クラック(ヘアークラック)などの
クラック程度には追随し防水膜を保つが、それ以上のクラックが発生
した場合や、下地がボード張りでボードの目地割れが生じた場合など
には追随できず、塗装膜が切れることがある。
<弾性吹付けタイル>・・・合成樹脂系
通常の吹付けタイルの防水性能を高めた物。
吹付け材が表面保護や着色塗装の機能から、防水性能を持たせれば持
たせるだけ庇の無い建物が増えてきました。
庇が無く直接雨が掛かる外壁は、隙間があると室内に容赦なく入り込
んできます。
そこで、ニーズは少々のクラックや目地割れには追随できる、より防
水性の高い吹付け材を要求しできたものが弾性タイルです。
硬化後でも柔らかく、爪を立てると窪み、手を離すと元の状態に復元
するゴムのような吹付け材が弾性吹き付け材です。
こんな「タイル」とはとても言えないものになっても、まだ「吹付け
タイル」と言ってます。
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【吹付材の寿命】
◎吹付材の寿命は10年と言うことが定着しているようでね。それを目処に吹替え計画
立てて居られる方多いのですが、建物の環境によって随分と違ってきます。
いい環境でないと思われている方は、10年を待たずにチェックしてみて下さい。
これはどなたでも出来ます。
まず、吹付け材を掌で撫でて下さい。手に白い細かな粉みたいな物が着いてくれば表
面のトップコートが劣化している証拠です。
吹付け材は次の工程からなります。
1.シーラー塗装(下地処理剤)
2.基材吹き (パターン付け)
3.上塗り (着色、トップコート)
トップコートは着色の他に、基材を保護する役目を持ちます。改修はトップコートが
劣化し始める頃に行うのが良いのです。
これが遅れて基材まで劣化してしまうと、簡単なトップコート吹きだけで済むものが、
基材から遣り替えるハメになってしまいます。
まずはチェックですね。
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吹付け材の遣り換えには大きな落とし穴が有った事例が有ります。次を参考にして下
さい。
http://www.kentiku-kikaku.com/main/kouen.html
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★用語の説明コーナー★
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スタッコ・・・南欧での壁面仕上げ技法。プラスターなどの塗り壁材をコテ(ヘラ)な
どで擦りつけて、凹凸のある暖かい表情の壁面仕上げとなる。
スチップル・・ペンキや粘性の有る吹付け材の表面をローラーで転がすと、塗装の表面
がローラーに引っ張られて出来る凹凸の模様。
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★編集あとがき★
梅雨明けも、もうすぐですね。今年は律儀に降ってくれました。後はすくすくと稲の
育ちを祈るばかりです。
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編集発行:E&A建築企画 事務局
E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
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