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建築知識
 
051号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            051号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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第51号の記事
  1.記事・・・リフォーム腕比べ?
        ・その壁抜いても大丈夫?
        ・何故補強しない!
  2.用語の説明
  3.編集あとがき

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リフォーム腕比べ?
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◆最近テレビでもリフォームを扱った番組が増えています。
 リフォームによって全く様変わりした部屋をご覧になった皆様の中には、あん
 なに変わるなら家でも遣ろうかなと思われた方も大勢いらっしゃる事と思いま
 す。
 初めの頃のリフォーム番組は、収納改善の延長のような手軽なものでしたが、
 最近の特徴は、思い切って壁をぶち抜いて間取りを変えての本格的リフォーム
 が多くなってきました。
 中途半端なリフォームではなかなかイメージまでは変えられません。やはり、
 ガラッとイメージを変えたいとの気持ちでリフォームされるには、間取りまで
 見直さなければ解決しないことが多いですね。

 テレビ番組は、リフォーム前とリフォーム後とで劇的に変化が有ればあるだけ
 アピール力があるので、勢い壁ぶち抜き型のリフォームが増えてきました。
 対象となった建物も、古ければ古いほどリフォーム効果がアピール出きるため、
 かなり古く今までに一度もリフォームをした様子もないものが選ばれているよ
 うです。

 番組には色んなタイプが有りますが、代表的なものは、或るコーディネータの
 指導の元で、素人のそのお宅のご主人が自ら作業をするものや、リフォームの
 技を数人の専門家に競技させて、その出来映えを近隣の住民が審査し、投票で
 チャンピオンを決めると言うものがあります。
 どちらの場合も、コーディネータや競技者の個性が出てきて大変面白い結果に
 なります。

 特に競技となると専門家同士の競争なので、かなり思い切った手法がとられる
 傾向にあります。斬新で今までと全く違った空間が突然誕生する。
 リフォームの家主はその変わり様に「・・・」とし、言葉を失うケースが有り
 ます。「・・・」は感激の余り言葉を失う場合と、「ちょっと違うよ!」と動
 揺の「・・・」が有ります。
 テレビでのことなのであからさまに「こんなのでは住みづらい!」と言う人は
 いませんが、明らかに困惑している人もいます。

 私も建築関係者の一人として冷静に見させていただいてますが、中には一人よ
 がりとしか思えないような物も有り、住人は満足するかな?と心配になります。
 番組の性格上リフォームの変わりようを強調するので、競技者も以前の建物が
 いかに劇的に変わるかに主眼が置かれている様子です。
 
 新築も、リフォームも専門家の独断ではいけません。今、医療界ではインフォ
 ームド・コンセンサス(説明と理解・納得・同意)の必要性が叫ばれています。
 特に専門性を必要とする医療界では、「患者は黙って医者の言うことを聞いて
 ろ!」的な風潮が強く、皆様も後で心配になったこともあると思います。

 建築界でも同じ事です。新築でもリフォームでもトラブルの大半はインフォー
 ムド・コンセンサス不足による物ではないでしょうか。
 設計者と中に住まう依頼主との間で充分協議され、設計者が進めようとする考
 えを伝え、同意を得る必要が有ります。
 依頼者が悩み、解決して欲しい事を一緒に悩み、考えて解決していくのが名医
 者であり、名建築士では無いでしょうか。
 

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◆その壁抜いても大丈夫?

 壁ぶち抜きリフォームが主流になりつつあるリフォーム番組で、つい心配にな
 るのが構造力学的な事です。
 1つの心配は、柱は屋根を支えている物だから撤去できないが壁は大丈夫と、
 何の躊躇もなく邪魔だから撤去している事です。
 壁を撤去し、今流行りの大空間がそこに出現しますが、壁は揺れや地震の時に
 建物のねじれを防ぐ重要な役目を持っています。
 建物の構造は、屋根や上の階を支えるだけでしたら小さな部材で済みます。
 しかし、建物の構造はそれだけでは不十分です。風や地震などの横からの力に
 対応しなければなりません。そのために部材は大きくなり、壁なども必要にな
 ってきます。
 
 皆様も木工細工などで経験されていると思います。本箱を作るとき四枚の板を
 ビスなどで止めます。四角に組んだだけではグラグラしますね。横から押すと
 直ぐに倒れてしまいます。

                 
   ┌───┐←横から力      ____ ←  
   │   │           \   \    グシャと倒れる。
   │   │            \   \
   │   │             \   \
   └───┘               ̄ ̄ ̄ ̄

 そこで、本箱の裏に板を打ち付けるとどうでしょう。しっかり立っていますね。
 これが壁や筋交いの役目です。
 


     ─┐           ┌───┐←横から力       
      ├裏に板を張る     │\  │           
      │           │ \ │斜めに引っ張られる力に裏板が
      │           │  \│抵抗して倒れるのを防いでいる。
     ─┘           └───┘ 

   <断面図>          <正面図>



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◆何故補強しない!

 2つ目の心配は、壁をぶち抜くくらいのリフォームを遣るのに、どうして構造
 補強をしないかです。
 対象となる住宅は明らかに旧基準で建てられた古い建物です。旧基準の建物は
 地震には弱い、とこの「建築雑知識」でも何度か書きました。補強だけのため
 に工事をされるのは、危険と分かっていてもなかなか踏み切れないかと思いま
 す。しかし、壁をぶち抜くような大改装を考えるので有れば、ちょっと補強す
 れば命を失うことは避けられるのです。
 本格的な補強は無理でも、「減災」の考え方で結果は随分と違ってきます。
 イメージチェンジでリフォームをお考えの方は、壁を抜くだけでなく「減災」
 の為の補強をお忘れ無く。

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★用語の説明コーナー★ 
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筋交い ・・・木造建築物で柱と柱の間に斜めに設けられた構造材。
       横からの力に抵抗する役目を持っている板状の物。斜め1本の場
       合や、2本でクロス状(X)に入れる。
       普通は壁の中に隠れてしまうので気が付かない事が多い。
       これを数多く入れると丈夫になるが、数と配置のバランスが重要。

ブレース・・・鉄骨造建物に用いられる鉄筋の筋交いのこと。
       考え方は木造と同じ。最近のシンプルな鉄骨住宅では構造体を見
       せる物もあり、雑誌やテレビでもお目に掛かる。

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★編集あとがき★
 リフォーム番組が増え、「リフォームでここまで変わるんだ。」と読者の皆様
 も勇気づけられた事と思います。
 化粧直しのリフォームでは味わえない新しい喜びがそこには有ります。機会が
 有れば皆様もご覧になっては如何ですか。 
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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