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建築知識
 
055号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            055号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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第55号の記事
  1.記事・・・マンションのリフォーム
       (等巾フォントの中文字でご覧に成られることをお勧めします。)
        
  2.用語の説明
  3.編集あとがき

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マンションリフォーム
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◆リフォーム番組を見ると、対象は戸建て住宅に限られているようですね。
 戸建ての方が自由に手を加えられ、劇的な変化を生みやすいと言うことが理由で
 はないでしょうか。
 今日は、テレビ番組では取り上げられないマンションにお住まいの大勢の方のた
 めに、マンションでのリフォームをお届けします。
 マンションリフォームは、戸建てに比べて制約がかなりあります。どのような物
 があるか並べた見ると、
 
 ★まず第一の特徴は、私有財産と共有財産が有り、手を加えられるのは私有財産
  の範囲に限られていることです。

  敷地やエントランスホール、集会室、共用廊下、階段などは、マンション全員
  で使っているので共有物だと直ぐに分かりますね。
  共有物は共有部だけでなく、貴方の住戸を形作っている柱、梁、壁、床などの
  コンクリートの躯体や、外部周りの建具も共有物です。
  「じゃぁ、住戸内は私有物だから、自由に作り替えられるんだ。」と思われま
  すが、ところがそうは成らないのです。何故なら、住戸内にも共用財産が有り
  ますよ。何だと思います?
  そうです。住戸内をタテに貫いている配水管ですね。配水管は皆が使っている
  ので、住戸内にあるからと言って勝手に触るわけには行きません。

  配水管以外の住戸内が私有財産に当たりますが、設備で言えばメーターから先
  の部分が私有財産と言うことになります。
  バルコニーやアルコーブは使用権があるだけで、私有財産では有りません。だ
  から、これも自由に手を加えられる物ではありませんからご注意願います。

 ★次にマンションは共同で生活する建物ですから、他人に迷惑になるリフォーム
  は慎まなければ成りませんね。
  「住戸内は私有財産だから、勝手でしょう!」では無いんです。
  マンション問題の一つに、騒音問題が有ります。外部からの騒音はマンション
  に限らずに戸建てでもあり得る地域の問題ですね。
  そうでなく、マンション上下階の騒音トラブルです。住宅性能評価基準の音の
  項目の時に述べたように、床材によっては階下に相当の影響を与えます。
  マンション内トラブルが表面化してから建設されたマンションでは、住民規約
  で「床材の仕様変更をする時は、遮音等級L−◇◇以上のもを使用すること。」
  と決めているところが増えています。一度規約を確かめて見て下さい。

  たとえ規約に書いて無くても、トラブルはイヤですね。階下のことを考えて、
  音が伝わりにくい材料を使用しましょう。

 ★次に共用部のリフォームですね。
  共用部のリフォーム費用は、当然マンション全体で負担しなければ成りません。
  多くのマンションでは管理費の他に、修繕維持積立金を徴収していると思いま
  す。この修繕維持積立金は必ずしも充分な金額ではありません。その大きな理
  由は、マンション販売会社が「多額の積立金を設定すると販売に影響が出る。」
  と考えて低めに設定しているからです。
  維持管理にも十分といえない積立金ですと、共用部をもっと良く改修したいと
  全員が思っていても、いざ費用負担となると実現は難しいですね。
  維持管理の積立額の多い少ないに関わらず、建物は傷むものは痛んできます。
  放っている訳にはいきません。改善のためのリフォームよりも、維持管理のた
  めが精一杯に成ってしまいます。

  責任或るマンション販売会社では、維持管理積立金を維持管理計画に基づいて
  必要な費用を積み立てるように設定しています。マンション選びも立地や住戸
  内仕様を比べるだけでなく、共用部や全体を考えたマンションかどうかも比べ
  ることが重要ではないでしょうか。

  次回もマンションのリフォームについてお送りします。
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★用語の説明コーナー★
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遮音等級(L)・・・床の遮音性能を表すレベル。数値が小さいほど遮音性能が高くなります。

┌───┬──┬────────┬────────┬────────┬────────┐
│ 建 │室 │特級(特別仕様)│1級(標準)  │2級(許容)  │3級(最低限) │
│ 築 │用 ├────────┼────────┼────────┼────────┤
│ 物 │途 │特別に遮音性能が│通常の使用状態で│遮音性能上の支障│使用者からの苦情│
│    │   │要求される使用状│使用者から苦情が│も生ずることもあ│が出る確率が高い│
│    │   │態の場合に適用  │ほとんど出ず遮音│るがほぼ満足しう│が社会的、経済的│
│    │   │                │性能上の支障が生│る       │などで許容される│
│   │  │        │じない     │        │場合が有る   │
├───┼──┼────────┼────────┼────────┼────────┤
│集合 │居室│ L-40 ☆L-45 │ L-45 ☆L-50 │ L-50  L-55 │ L-60     │
│住宅 │  │        │        │        │        │
├───┼──┼────────┼────────┼────────┼────────┤
│ホテル│客室│ L-40 ☆L-45 │ L-45 ☆L-50 │ L-50 ☆L-55 │ L-55 ☆L-60 │
├───┼──┼────────┼────────┼────────┼────────┤
│体育館│アリ│☆L-40     │☆L-45     │☆L-50     │ L-55     │
│   │ーナ│        │        │        │        │
├───┼──┼────────┼────────┼────────┼────────┤
│学校 │普通│ L-50     │ L-55     │ L-60     │ L-65     │
│   │教室│        │        │        │        │
└───┴──┴────────┴────────┴────────┴────────┘
 原則として軽量、重量衝撃源に対して適用。但し☆印は重量衝撃源のみに適用 


表2  住宅における生活実感とL値との対応例 
┌───────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐
│ 遮音等級  │ L-30  │ L-35  │ L-40  │ L-45  │ L-50  │ L-55  │
├─┬─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤
│床│走り回り │殆ど聞こえ│静かな時 │遠くから聞│聞こえるが│殆ど気に │少し気にな│
│衝│足音等   │ない   │聞こえる │こえる感じ│気になら無│ならない │る    │
│撃├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤
│音│椅子、物の│全く聞こえ│まず   │殆ど   │サンダル音│ナイフ等は│スリッパで│
│ │落下音等  │ない   │聞こえない│聞こえない│は聞こえる│聞こえる │も聞こえる│
│ ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤
│ │その他の例│子供が大暴│多少跳びは│気がねなく│少し気を │やや注意し│注意すれば│
│ │     │れしてもよ│ねてもよい│生活できる│つける  │て生活する│問題ない │
│ │     │い    │     │     │     │     │     │
├─┴─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┴─────┤
│  L-60   │ L-65  │ L-70  │  L-75  │ L-80  │  備  考     │
├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼───────────┤
│やや気になる │良く聞こえ│非常に良く│非常に  │うるさくて│低音域の音、タイヤの音│
│       │気になる │聞こえうる│うるさい │我慢できな│           │
│       │     │さい   │     │い    │           │
├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼───────────┤
│箸を落すと  │10円玉で │1円玉でも│同上   │同上   │高音域の音、タッピング│
│聞こえる   │聞こえる │聞こえる │     │     │の音         │
├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼───────────┤
│お互いに我慢 │子供がいれ│子供がいて│注意してい│忍者的生活│タイヤ、タッピングとも│
│できる限度  │ば文句が出│も上が気に│ても文句が│が必要  │に合格のとき     │
│       │る    │なる   │くる   │     │           │
└───────┴─────┴─────┴─────┴─────┴───────────┘

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★編集あとがき★
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 鯉ヘルペスや狂牛病に続いて鳥インフルエンザとは。もう、食べるものが無くなちゃ
 うよ。「今晩何食べよ?」これも、自然に逆らってきた人類への警告でしょうか。
 地球温暖化等々、もっと自然と向かい合わなければと思う今日この頃です。 
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                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
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