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◆◇◆ ☆建築雑知識 013号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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◆住宅性能表示の評価基準(3)劣化の軽減−その1◆
住宅に限らず建物は数多くのパーツ(建材)で造られています。その中には時間と
ともに水分・湿気や大気中の汚染物質などの影響で、腐敗、錆(さび)、中性化な
ど次第に劣化してしまいます。
また、劣化のスピードもパーツによって違ってきますから、住宅を総合的に評価す
るのは非常に難しく、性能評価基準では構造躯体に限って評価しています。
建物は躯体さえしっかりしていれば、リフォームやリニューアルも可能です。
躯体が劣化すると技術的な面では修復も可能ですが、金銭的に言うと立て替えた方
が安いと言うことになってしまいます。
ですから、評価基準では躯体に絞って評価するのも妥当なところでしょうか。
建物の躯体構造は大きく分けて、木造、鉄骨造、コンクリート造に分けられます。
劣化のポイントはこれらの構造によって違いますので、今後構造別に取り上げてい
きます。
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【木造の劣化のポイント】
木造の劣化と聞くと、まず腐敗菌で木材が腐る事が思い浮かびますが、他にも木造
特有の劣化が有ります。
シロアリの被害ですね。これらが木造の躯体を痛める大きな原因です。
腐敗菌もシロアリも実は似たような環境で発生します。ご存じの通り湿気が大敵で
すね。
温暖で湿気が有れば木材を栄養源として腐敗菌や、キノコ類はどんどん繁殖します。
シロアリはキノコを好み、湿気の多い所に集まってきます。
1.<家を食料にするシロアリ>
日本にいるシロアリは大和シロアリとイエシロアリが知られています。
大和シロアリ・・・北海道の北部を除いて日本全土
4〜6月頃の昼間黒い羽アリが飛来する。
(地面から1mの範囲に被害集中)
イエシロアリ・・・九州、四国、瀬戸内海、東海道沿岸部
6〜7月の暑い夜茶褐色の羽アリが飛来する。
(家全体が影響を受ける。影響大)
★評価基準では、北海道、東北、北陸地方はシロアリの生息が確認されているものの、
他の地域より寒冷地で被害の進行も遅く、緩和措置を設けています。
しかし、年々地球の温暖化が指摘されていますので、寒冷地といえども注意は必要
です。
★シロアリは暑くなり始める頃、若いオスとメスの羽アリの飛来から始まります。
家に被害を与えない普通の蟻も羽アリとして飛来しますので、両方を区別して下さ
い。
・普通の蟻・・・黒色、堅い身体、胴のくびれが大きい、4枚の羽の内前の羽が大
きい。
・シロアリ・・・黒〜茶褐色、頭でっかち、胴太でくびれ無し、前と後ろの羽の大
きさに違いなし。
★シロアリは家の癌とも言われ、進行が非常に早いので羽アリを発見したら早期の処
置が必要。巣を発見し薬剤による駆除が必要ですが、毒性が高いので注意が要りま
す。
専門業者に頼む場合、値段に相当の開きがありますので、数社から見積もりを取る
ことをお奨めします。
★森林を伐採して造成した敷地は要注意!
木の切り株はシロアリが最も好んで巣にします。粗悪な造成で切り株が地中に埋ま
っていると、次に狙われるのは貴方の家かもしれません。
★ご近所でシロアリの被害の話が出たら、トンネル(蟻道)を伝って貴方の家のそば
にまで来ていると考えた方がよいでしょう。
★シロアリも好き嫌い?
木で有れば何でも喰い尽くす勝井宇土そうでもないようです。
・好んで喰うのが、マツ類、ヤナギ、2X4(ツーバイフォー)材
・普通に食べるのが、ヒノキ、ベイツガ、スギ、サクラ、ラワン、モミ類
・好まないのが、ヒバ、カシ、アピトン
2.<シックハウスより怖い湿気ハウス>・・・次回に繰り越しします。乞うご期待!
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★用語の説明コーナー★
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蟻道・・・シロアリは日光を嫌います。嫌うと言うよりも雛たると生きていけないの
です。
ですから、食い尽くし次の餌を求めて移動するときは、日光から身を守る
ために土と排泄物で塗り固めたバリケードのトンネルを築きます。これが
蟻道です。
地中から地上に出た部分に見られますので、見付けたら薬剤処理しましょ
う。
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★編集あとがき★
秋は行楽の季節で皆様お出かけの機会が多いかと思います。最近はご年輩のご夫婦が
リュックを担いでる姿を良く目にします。「共に手を取り暮らしたい。」老後もそん
な安らかな生活を迎えられると良いなと思いながら見ています。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
が「建築を愛する皆様」へお送りします。
編集発行:E&A建築企画 事務局
E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
http://www.kentiku-kikaku.com/
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