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建築知識
 
016号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            016号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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◆住宅性能表示の評価基準(3)劣化の軽減−その4◆

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◇【コンクリートの劣化】その2

◆<コンクリート強度は水しだい>

水を入れる行為を犯罪と言いました。「水を入れることぐらいで犯罪とは大層な」と思われ
る方が居られると思います。しかし、水を入れる行為は前回に述べた単にコンクリート肌を
悪くするだけのものではないからです。

コンクリート成分は水とセメント、砂利、砂でできてますが、強度には水とセメントとの割
合(水セメント比)が重要な役割を持ちます。水分の割合が少ない程緻密なコンクリートが
でき、強度も高くなります。
鉄筋コンクリート造は、コンクリートの強度と鉄筋の太さや本数のトータルで決まります。
水セメント比が多いコンクリートで有れば、水セメント比の少ないコンクリートより鉄筋の
量を増やさなければならないところですが、鉄筋の量はそのままで勝手に水を増やすとコン
クリートは強度を落とし、明らかに建物構造全体の強度不足につながります。
これが犯罪でなく何でしょう。

もっとも、ポンプ車による圧送での打設ではパイプ詰まりが現実に起きてしまうから、コン
クリート打設業者だけを責めて済む問題でもありません。
こういう場合、施工管理者としてはAE剤の混入を指示すべきでしょう。

AE剤とは水セメント比を変えることなく、コンクリートの流動性を高める薬剤です。
理屈はコンクリートの中に小さな気泡を造り、この気泡が潤滑油の働きをして流れが良くな
ると言うものです。
この気泡がコンクリートの中に取り残されると新たな問題となるのでしょうが、そういう欠
点は見られません。
コンクリート打設はミキサー車やポンプ車の出現で飛躍的に楽になりました。しかし、ポン
プ車ならではの新しい問題も出てきましたが、問題を解決するものも出てきているのでポン
プ車を使うなら、もっとAE剤を多用する必要があると思います。


◆<以前のコンクリート打設>

ここで雑知識。
ミキサー車や、ポンプ車が世に出るまでは、どのようにしてコンクリートを打設したのでし
ょう。
コンクリートは水、セメント、砂利、砂を混ぜて造ることは皆様もご存じでしょう。昔はこ
のコンクリートを現場毎に造っていたのです。
現場監督はその日の天候と気温を気にしながら、調合の比率を指示を出していました。今の
ミキサー車に付いている回転ドラムを回しながらスコップで原料を投入していたのです。
回転ドラムの中では砂利が飛び跳ね、ガラガラとそれは喧噪な風景です。これを均等に混ぜ
ると、今度は猫車(一輪車)に移し打設現場まで運んだのです。

皆さんは一輪車で荷物を運んだことがありますか?バランス取りが大変難しいですね。それ
を巾30cmほどの板の上を転がして運んだのです。人海戦術ですから何台もの猫車が列をなし
運び、空になった猫車が元の回転ドラムの場所に戻ってくる。例えは悪いのですが、丁度蟻
ん子がゾロゾロ列をなしていた様な風景ですね。
コンクリート打ちは時間との競争ですから、それは慌ただしかったと思います。

水平移動は猫車ですが、2階建てやそれ以上はどうしていたのでしょう。
今ではすっかりその影を隠し見ることが出来ませんが、垂直移動バッケット(?)で上階まで
運んでいました。バケットは鉄で組んだタワーの中を上下する下が窄(すぼ)んだ容器です。
打設階まで上昇し、打設階で猫車に移してたのです。

このような打設ではシャバシャバのコンクリートにする必要もなかったし、シャバコンより
パサパサのコンクリーとの方が運びやすかったのでしょう。だからこの頃のコンクリートは
結構強いのです。

どうですこの頃のコンクリート打設風景は。それに引き替え今のコンクリート打ちの簡単な
こと。電話で生コン会社へ「強度〇〇kg/cm2も物を◇台」でコンクリートが現場に運ばれ
てくるのですから。
現場監督はミキサー車やポンプ車の恩恵に預かっているのだから、「昔のコンクリートは丈
夫だった。」だったと言われないようにして貰いたいですね。


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★用語の説明コーナー★
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猫車(一輪車)・・・児童が校庭で乗っている?・・・では有りません。
          今でも一寸した現場や、農家などで物の持ち運びに使われる物です。
          運ぶこつは手を突き出さずに、腰の位置でしっかり固定する事のよう
          です。(未熟者より)

                ◯  ウンコラショ!
                』》  
             \/ ̄‖
              ◎《 \   )))

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★編集あとがき★
前回コンクリートの劣化の様子が分かるホームページを紹介しましたが、折角クリックして
いただいたのに表示されなかったと思います。こちらの表示ミスでした。
申し訳ありません。
今度は正しく表示しましたので、今度こそコンクリートの劣化の様子をご覧になって下さい。

         http://www.kentiku-kikaku.com/main/kaishu.html
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
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  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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