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建築知識
 
020号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            020号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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◆住宅性能表示の評価基準(4)維持管理−その2◆


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◇【配管スペース】

住宅性能評価での維持管理は、全面的な交換が必要となるまでの間になされる「点検」
「清掃」「補修」と定義付けています。

建物の寿命は維持管理によって、長くもなり短くもなります。
傷みが分かったら、早めに修理しましょう。早期発見早期治療ですよ。

・・・「そんな事はわざわざ言われなくても分かっているよ。」


表に見えている部分は傷み具合が分かるために、大事に至る前に処理できます。
お風呂のタイルの目地が割れて放っておく人はいません。直ぐにホームセンターに行き
コーキング材を買って詰めますよね。
床のフローリングの艶が無くなったら、「次の休みにはワックスがけでもをするか」と
予定に入れますね。

皆さんも維持管理は大切だと分かっていてもなかなか出来ないのは、設備管が壁や床の
中に隠されて、簡単に点検すら出来ない為ではないでしょうか。
もし、設備管が表に現れていたら「点検」も「清掃」も「補修」も簡単に行えますね。
「これからの建物は設備第一で行くべきだ」とし、露出配管を主張する建築家もいます。
それも1つの考えだとは思います。
しかし、建築は総合的なものだし好みもありますから、全ての建物で設備管が露出では
ちょっと抵抗は感じます。

全ての配管を露出しないまでも設備のウエートが高まった現代では、少なくても容易に
「点検」「清掃」「補修」できる仕組みにしておくことが重要ですね。
その1つが点検口の設置。更に積極的に配管スペースの設置です。

今までの建物は、設備に対する配慮は十分だったとは言えません。設備管はどうせ隠す
ものだからと言って、コンクリートの床や壁の中に管を埋設した建物は過去に多くあり
ます。
それらの建物が老朽化したとき、コンクリート躯体に打ち込んでしまった管は補修しよ
うが有りません。
一昔前は「安く造って、維持管理に金を掛けず、傷んだら建て替える。」高度成長期は
メンテするより古くなったら建て替えた方がいいと言う「スクラップ・アンド・ビルド」
の時代だったんですね。

配管スペースの概念は道路の共同溝と同じです。共同溝は都市に必要な上水、下水、ガ
ス、電気、通信などのインフラを1ヶ所にまとめた都市の配管スペースです。これによ
り簡単に「点検」「清掃」「補修」が可能になりました。
それまでの日本の道路工事は、半年前に下水工事で道路を掘り繰り返したと思ったら、
今年はまた水道工事で掘り返してるような状態でした。
共同溝(配管スペース)を造るのはコストが掛かるものですが、一時的にコストが掛か
っても長い目で見た場合メリットは必ずあります。

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◆<エッ!こんな所に配管が?>

配管スペースを設けるメリットは「点検」「清掃」「補修」が容易に出来ることですが、
もう1つのメリットに配管の位置がはっきりしていると言うことです。

設備工事は工場生産のパイプやジョイントを組み合わせて進めるので、一見工場生産と
同じ様なイメージで見られますが、実際は現場加工、現場合わせと言うことが良く行わ
れます。
排水管は別として、給水などは勾配など関係がないので少々管が長くなっても遣りやす
い納めをすることがあります。
設備管はどっちみち隠されてしまうものなので、ルートが少々変わっても「水が出る」
と言う本来の目的が達せいされれば良しとする所があり、設計図通りの位置に無いこと
が良くあります。

このように、いったん壁や床の中に隠された配管配線は、その場所を見付けることは大
変難しくなります。そのために、不用意に釘を打ち管に穴を開けてしまうことは良くあ
る話です。これはプロが遣っている新築の現場でも良くある話です。


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◆<水漏れは何処?>─

設備管の水漏れは雨漏れと同様、原因の場所を突き止めるのはそう簡単ではありません。
点検口や配管スペースが無かったりすると、原因を突き止めるために造作物を壊さない
と行けなくなります。壊してみたがここではなかったでは目も当てられません。
これから家を建てられる方は、露出配管とまでは言いませんが配管スペースの壁が外せ
る、配管スペースの床が外せるそう言う家にしたらどうでしょう。

最近のオフィスビルは配線の為のOAフロアーが一般的です。これも床の配管スペース
ですね。床を自由に取り外し、配線が出来る仕組みにしました。そのために床のカーペ
ットも90cm角のタイルカーペットに変わりつつあります。

マンションでは梁を逆梁にして、床とスラブの間を配管スペースや収納スペースにする
事例もあります。
モデルルームに行って「配管スペースはどうなってますか?」と質問しましょう。


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今日の話は、「隠していると、碌な事はない。包み隠さずオープンに。」と言うお話で
した。
どこかの政治家や官僚に聞かせてやりたいな。  

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★用語の説明コーナー★    
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逆梁(ぎゃくばり)・・・梁は梁の上の床を支える役目をしますが、鉄筋コンクリート造
            は梁と床が一体で造られるので、梁が上で床版(スラブ)が下
            でも成り立つのです。

      手摺り                    手摺り                 
     /                      /
   ♀/    │      住戸        ♀/    │      住戸
   │     │         スラブ    │     │         
   │バルコニー│        /       │バルコニー│        木床
   │     │       /        │     │       /
   ┌┐   ┌┴───────────     ┌┐   ┌┴┐============ 
   │└───┘ ┌───────┐┌─     │└───┘ │       ┌┬小梁(逆梁)
   └────┐ │       │├小     └────┐ │ 配管スペース││
        │ ├───┬───┴┴─          │ └───────┘└──
        └┬┘\   └天井             └┬──────────┬─
         │  \                   │ \        └スラブ
         │   大梁                 │  大梁(逆梁)   
         │                      │
   ♀     │      住戸        ♀     │         住戸        
   │     │                │     │
   │バルコニー│                │バルコニー│        木床
   │     │                │     │       /
   ┌┐   ┌┴───────────     ┌┐   ┌┴┐===========
   │└───┘ ┌───────┐┌─     │└───┘ │       ┌┬小梁(逆梁)
   └────┐ │       ││      └────┐ │ 配管スペース││
        │ ├───────┴┴─          │ └───────┘└── 
        └┬┘                    └┬──────────┬─ 
         │                      │          └スラブ
         

         <従来のマンション断面図>           <逆梁のマンジョン断面図>

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★編集あとがき★
もっと余裕をもって作ればいいのですが、今週も週末に慌てて作りました。
乱文を、雑文をご容赦。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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