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建築知識
 
035号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            035号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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■住宅性能表示の評価基準(9)高齢者等への配慮−その3■

【共用部分】
 ☆この項目は戸建て住宅には有りません。共同住宅のみの項目で、各戸の住
  宅玄関から建物の玄関までの範囲を言います。

 ☆共用部分の移動は車椅子での移動を前提としてますから、途中様々障害が
  有り、大変で危険なことは容易に想像がつきます。
  もっとも困難なのが段差ですね。
  段差解消にスロープが設けられていたとしても、勾配が急で在れば非常に
  危険なことです。これも造れば善いと言うわけには行きません。

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 【共用廊下】

 a.原則として段差がない構造かどうか。
 b.最低片側に手摺りが有り、高さは床から700mmから900mmの位置してあるか。
 c.段差が在る場合は、1/15以下のスロープ勾配になってるか。
 d.開放廊下では、移動補助の手摺りとは別に、落下防止のための手摺りを床
  から1,100mmの位置に設けられているか。
 e.廊下巾は、1,400mm以上か。・・・建築基準法は1,200mm以上。
 f.車椅子対応のエレベータを設置してるか。
 
【共用階段】

 a.階段の勾配が緩い他は、ほぼ住戸内と同じような基準となります。

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 ※実際の基準はもっと細かく分かれていて、評価員にとっては非常に面倒な
  基準です。ここまで分けなくてもと思うくらい、事細かに分かれています。

 ※(b) の手摺りの高さは、歩行補助用として考えた高さです。
  手摺りの高さは、別に落下防止の意味から(d) のように 1,100mm以上と決
  められていますが、これでは歩行補助用としては高すぎますね。

 ※(c) のスロープ勾配は、車椅子で自力で上れる勾配が1/15の勾配なんです。
  1/15の勾配というと歩く分には相当緩く感じますが、実際に車椅子で上ろ
  うとすると大変だと思います。
  また、1/15勾配のスロープを設けるには随分と長い距離が要ります。例え
  ば、500cmの段差をあがるのには0.5×15=7.5mも必要とします。
  車椅子対策に住宅を改造しようと思っていても広いスペースが必要で、簡
  単には解決が付きません。やはり、事前の検討が重要ですね。

 ※(e) の廊下巾は、住戸内が800mmだったのに比べ1,400mmと大きいのは、共
    用廊下なので他人とのすれ違いが有るのと、車椅子がUターン出来るよう
  にしてあるためです。

 ※(f) の車椅子用EVは、最近公共的な建物では良く目にし、皆様も利用さ
  れたことが有ると思います。
  正面に鏡が有り、操作ボタンも低い位置に付いてます。操作ボタンが低い
  のは分かると思いますが、鏡が付いているのは?
  車椅子用EVは前進乗車、後進降車ですから、後退の時後ろが見えるよう
  にと言う配慮です。

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◆共用部分で注意しないといけないのは、共用部はみんなの財産なので、後で
 勝手に改造できない点です。
 誰でも歳をとり、いずれ高齢者となります。歩行が困難になった場合を想定
 してマンション選びも必要ですね。

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◆高齢者への思いやりは、随分認識されてきました。公共施設的建物では、車
 椅子用のEVの設置など、別の法律『ハートビル法』で定められています。
 
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★用語の説明コーナー★
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※世間では、建築の専門家の事を色々な呼び方をされてますが、ここで整理し
 ましょう。

建築士・・・公に定められた唯一の呼称で、「設計」「工事監理」の技術基準
      に合格し免許を受けた者。

設計士・・・建築士の資格業務に「設計」と「工事監理」の2つが有りますが、
 (者)  その中で「設計」の業務を行う者。
      設計の業務は行うが、建築士の資格がない者には言いません。

建築家・・・世間では芸術的な創作を行う格好いい人みたいな扱いですが、規
      定は難しいですね。
      強いて言えば、建築士で設計の業務を行う設計事務所の”ボス”
      でしょうか。
      自称「建築家」は随分多いですけどね。

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※建築士には次の3種類があり、それぞれの資格で扱える建物の規模が定めら
 れています。

 ・一級建築士・・・建設大臣免許  (全ての建物が扱える。)

 ・二級建築士・・・都道府県知事免許(高さ13m、軒高9m以下の建物、
                   木造以外の構造は300m2以下のもの)

 ・木造建築士・・・都道府県知事免許(木造で300m2以下で2階までの建物、
                   木造以外の構造は 30m2以下のもの)

※建築士の資格は、建築の「設計」、「工事監理」を行う者の資格です。
「現場施工」に関しては、建築士の資格は必ずしも必要とはしません。

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★編集あとがき
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毎週発行していたマガジンが、このところ不規則になりましたことをお詫びいたし
ます。
今年はじめより手がけていた業務に追われ、どうにか4月末に一段落をしました。
さぁこれからメルマガの発行を軌道に乗せようと思っていた矢先、気の緩みでしょ
うか、熱を出しダウンしてしまいました。
お陰で、5月の連休は3日間床の中で、滾々と眠り続ける羽目になりました。きっ
と、神様が、「ここら辺で休養しろ」と熱を出させたものと感じます。
連休明け、体調もよくなり頑張ろうとすると、今度はパソコンの調子が悪いのです。
まるで、「貴方だけ休んでズルイ!私も休ませて」とでも言っていているようです。
結局フォーマットしなければならない羽目になり、「今までのデータは・・・」と
一瞬青ざめましたが、データは別のドライブに保管していたために被害に遭わずに
済みました。
と言うわけで、今日からまた週刊を発行をめざして頑張ります。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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