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◆◇◆ ☆建築雑知識 034号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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高齢化社会に入った現在、住宅の高齢者対策は住宅を考える上で重要な要素に
なってきました。
住宅の高齢者対策が叫ばれる以前の住宅は、将来の為に高齢者対策をした物は
ほとんどありません。いざ高齢になったからバリアフリーにしたいと思ってい
ても簡単に出来ないケースや、出来ても充分でないケースが多く見られます。
今日は基準での数値を少し取り上げますので、貴方のお宅と照らし合わせて見
て下さい。
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■住宅性能表示の評価基準(9)高齢者等への配慮−その2■
【住戸専用部分】
(5)通路、出入り口の巾
通路部分は意外なことですが、巾のことしか基準がありません。移動のた
めに手摺りが有るとか無いとかで評価が変わると思いきや、手摺りのこと
は全く扱ってません。
では、先に述べた(4)の手摺りの項目で扱ってるかと言うと、(4)の項目で
は階段、便所、浴室、玄関、脱衣所(日常生活空間と言う)だけを対象に
して、廊下は対象となってません。これは意外です。
評価基準は住戸移動は車椅子を前提にしているようです。ですから、車椅
子がスムーズに通れるかどうかが評価の分かれ目となります。
・>通路の巾<
等級5・・・850mm(柱など1部分が出張っている所は800mm以上)
等級4・・・780mm(柱など1部分が出張っている所は750mm以上)
(等級3)
等級5,4は寝室と日常生活空間の移動部分の他に、ホームエレベータ
がある場合にEVからの通路部分も対象としてます。
※通路の巾を計るとき、巾木など下の方で出っ張っているものは構わない
としてます。これは下の方で出っ張っていても車椅子の歩行には支障が
ないとの判断です。
・>出入り口の巾<
等級5・・・日常空間の出入り口の巾=800mm以上
等級4・・・日常空間の出入り口の巾=750mm以上(浴室は650mm以上)
等級3・・・日常空間の出入り口の巾=800mm以上(浴室は600mm以上)
※出入り口の巾はあくまでも、有効巾です。ですから扉を開けたときに扉
の出っ張りが有ると、その分は狭く測定されます。
でも、浴室の扉と玄関の扉以外の、他の室の扉はネジ回しで外れるよう
なもので有れば、はずした状態で計ることが出来るとしてます。
これは、日常の車椅子移動の他に介助の場合を想定して基準を決めてい
るからです。
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(6)寝室、便所、浴室の広さ
広さの評価は、それぞれの室ごとで無く、3室セットで評価します。
広さの評価は、内法寸法面積と内法有効寸法で評価しています。
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│等級5 │寝室・・・12(m2)以上 │
│ │便所・・・短辺が1300mm、又は L+500mm以上、腰掛式便器│
│ │浴室・・・短辺が1400mm以上、2.5 m2以上 │
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│等級4 │寝室・・・12(m2)以上 │
│ │便所・・・短辺が1100mm、長辺が1300mm以上、腰掛式便器│
│ │浴室・・・短辺が1400mm以上、2.5 m2以上 │
├────┼──────────────────────────┤
│等級3 │寝室・・・ 9(m2)以上 │
│ │便所・・・長辺が1300mm以上、便器の前、横が 500mm以上│
│ │ 腰掛式便器 │
│ │浴室・・・短辺が1400mm(1300)以上、2.0 m2(1.8) 以上 │
└────┴──────────────────────────┘
*註)1.便所のLは便器の後ろの壁から便器の先端までの長さ(下図)
2.等級3の浴室の( )内数字は共同住宅の場合
┃←500 →│←─L──→┃
┃ │ ┌─┐┃
┃ │ │ │┃
┃ │ │┃
┃ ∈≡≡≡Л┌┘┃
┃ ) 便器 ( ┃
┗━━━━━━━━━━━┛
※こうして見ると、便所の評価が細かく分かれていますが、便器の前と横
の寸法を問題にしてます。
これは高齢化すると足腰の衰えだけでなく排便機能の衰えも見られ、便
所に連れていく介助の他に、排便の介護も必要になってくるからです。
そのために便器の前後の寸法が問題になってきます。
本当に介護って大変なんですね。
それに便器の種類は腰掛け型の便器すなわち洋式便器に限っています。
これはお年寄り本人はもちろんのこと、介護の人にとっても当然の事で
す。出来れば暖房便座、ウォシュレットなども付けてあげたいですね。
排便機能が衰えたお年寄りは、ウォシュレットなどで刺激したり、お尻
が暖かくなると緊張がゆるみ排便が促されるそうです。
また、入浴時は身体が暖まり、ついお漏らしと言う事態も有ります。
浴室は大きさだけでなく、介護に配慮した設備も欲しいところですね。
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参考URL紹介・・・図だけでは分からないので、写真を表示します。
★手摺り、補助具・・・
http://www.yazaki.co.jp/syouhin/fukusi/tesuri/index.html
★車椅子・・・・
http://www.pamuk.co.jp/
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★用語の説明コーナー
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・内法寸法面積・・・通常建築で面積を算出するときは、壁の中心で囲われ
た面積を言いますが、内法寸法面積は仕上げ面の内側
を計った数字で算出しますので、一回り小さい数字と
なります。
他に内法寸法を基準にしているのは、不動産登記面積
や、旧建設省関係以外は良く内法寸法を使います。
あなたの借りてる不動産面積の表示はどっち?
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★編集あとがき
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住宅性能評価基準は、性能を評価するための基準ですのです。建築基準法と
違い、守らなければならないものとは違います。やるやらないは、建て主の
自由なのです。
でも、住宅購入の時など、買おうとしている住宅がどの程度の内容かを把握
するのに役立ちます。また、それ以上に意味があるのは、性能評価を受ける
ことで図面審査だけでなく、現場でのチェックが有ることです。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
が「建築を愛する皆様」へお送りします。
編集発行:E&A建築企画 事務局
E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
http://www.kentiku-kikaku.com/
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