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◆◇◆ ☆建築雑知識 043号
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■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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第43号の記事
1.記事・・・a.何が怖い?・・・地震、雷、火事、親爺?
・火事は江戸の花?
・驚いた船火災!
・注意したい内装工事
2.用語の説明
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【何が怖い?】・・・地震、雷、火事、親爺?
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怖いもの、それは古くから「地震、雷、火事、親父」とされてきました。しかし、
4番目にランクされてきた「親父」は、最近では随分と事情が違ってきています。
優しいお父さんが多くなり、子供達も友達感覚で接しています。
また、家庭内の女性の地位の向上と反比例するかのように、親父の地位は下落し
現在に至っています。
ここでは、それの善し悪しは置いとくとして、親父の地位は確実に怖い対象から
はランク落ちです。
では、「何が怖い}を本題の住宅の面から考えてみましょう。
地震も雷も火事も滅多に起きるものではありませんが、一度遭遇すると住まいは
バラバラになり消滅するだけでなく、死につながるものだけに怖いですね。
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●火事は江戸の花?
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火事は「江戸の花」なんて言いながら、「ジャン」が鳴るといち早く火事場へすっ
飛ぶイナセな若衆。
その活躍を一目見ようと、火の粉が降りかかるのも構わず怖いもの見たさで集まる
町民衆。これは大江戸の火事場風景です。
ところが最近は少し勝手が違います。火事場に野次馬が集まるのは昔ながらですが、
火事場の風景は様変わりです。
特に町中の建物は耐火構造や準耐火構造で、燃えにくい構造になっています。建物
が炎を上げて燃えさかると言った風景はなくなり、窓から炎や黒煙が勢い良く窓か
ら吹きだす姿に変わりました。
黒煙はススだけでなく、目には見えない有毒ガスを多く含んでいます。火災現場を
取り巻いた野次馬も、息苦しさからたまらず後すざり。
これでは「江戸の花」見物どころか、「江戸の薫製」になってしまいます。
それと建物が高層化してきた為に、逃げ遅れた人々は悲惨な状態に置かれます。
2階建て程度だと飛び降りて脱出も出来るでしょうが、4,5階になると飛び降り
るのも躊躇われます。
迫りくる炎と黒煙に窓から身を乗り出し救いを求める姿を、テレビを通して見る機
会が多くなりました。今や火事場は消火活動でなく、救助活動が最大の関心事にな
ってきた感があります。
ところで、火災は増えているのでしょうか?それとも減ってきているのでしょうか?
次の統計を見て下さい。
◆火災件数
火災件数は平成10年前後に一度減少していますが、最近少しづつ増加傾向にあり
ます。また、死者数も負傷者数も件数に関係なく微増ですが増加しています。
http://www.intacc.ne.jp/HP/anzen/toukei5.html
◆火災原因
1.放火 7300件
2.煙草の不始末 6200件
3.コンロ 5200件
4.放火の疑い 5150件
5.火遊び 3100件
データは平成11年と少し古いですが、驚くことにトップに放火があげられています。
4位の放火の疑いを合わせると、なんと12,450件にもなり、ダントツの原因
です。ほとんどが放火と言って良いくらいです。
http://www.city.kasugai.aichi.jp/syobo/syobo/kasai-zenkoku-genin.html
◆都市部のストレスが火災の原因か?
都会の方が人も建物も込み合っているので、火災やそれに伴う死者数が多いのは当
たり前って言われるとそれまでですが、次の表を見ると何か人口の多さよりもスト
レスの多さと考えるのは私だけでしょうか?
そう言えば新宿の雑居ビル火災も放火でしたね。
火災死は、自分の失火で失うのでなく、放火などの外部の原因で命を落とすと言う
ことを、改めて考える必要がありそうです。
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●驚いた船火災!
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火災と言えば建物だけではないですね。勿論建物が一番多いのですが、続いて多い
のが自動車の車両火災です。
滅多にないことですが、昨年10月に長崎の三菱造船所で建造中の豪華客船が火災
を起こしました。原因は、客室の内装工事中の溶接による失火のようです。
問題の船は「ダイヤモンド・プリンセス」(約113,000トン)で、三菱造船
所が久しぶりに受注した豪華客船でしたが、全体の6〜7割の部分を消失しました。
この火災事故で驚いた事は、小さな溶接の火花が船全体の4割をも焼くまで延焼し
続けたことです。
建物の場合、建物が延焼しないように床面積1500m2毎に防火区画します。火災
に合ったとしても、1500m2で延焼をくい止めようとするものです。
ところが、今回の船火事はいとも簡単に延焼してしまいました。船のことは良く分
かりませんが、建物で言う防火区画は無かったのでしょうか?
それとも、随分以前に有ったホテルニュージャパンの火災のように、防火戸の開閉
装置をOFFにしていた為でしょうか?
折角設備を整えていても、作動しないようにしていては人災そのものです。
多くの大規模火災はこのような人災で起きますから、防火戸の開閉には注意しなけ
ればなりませんね。
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●注意したい内装工事
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内装工事は船の場合も建物でも同じで、最終段階の工事です。少しづつ形になり、
全体のイメージが目で確認され、もう少しで完成すると関係者は心弾む時です。
ところが喜びの直前に、火災に合うことは決して珍しく有りません。と言うより
も工事中の火災はこの時期に集中します。
それは、内装工事は燃えやすい材料を多く扱っていることと、内装工事が最終段階
になり、工期のしわ寄せを最も受けやすいからです。
特に店舗工事などはオープン日が決まってて、その日を目標に不眠不休の工事が続
きます。自然と注意力が散漫になり、また急ぐ余り安全性を省みなくなってしまい
がちです。
内装工事でも火を使う工事は溶接などに限られていますから、養生をしっかりして
対応すれば恐れることは無いのです。一番の大敵は「慣れ」かもしれません。
一寸した不注意が、豪華客船をも灰にしてしまいます。現場で一番心したいのは、
この「慣れ」の警戒ではないでしょうか?
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★用語の説明コーナー★
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防火区画・・・万が一火災になっても、最低限の範囲で火災が収まるように耐火
構造の壁や、防火戸で区切ること。
防火区画には次の種類が有ります。
1.面積区画 ・・・一般的に1500m2以下で区画しますが、構造規模などの
条件により 100〜3000m2の範囲で決められます。
2.竪穴区画 ・・・火災は階段など、縦につながる部分から上階に延焼し
ます。
3階以上の階に階段がつながる場合は、階段とその他
の部分を防火区画し延焼をふせぎます。
(3階建て戸建住宅は必要有りません。)
3.異種用途区画・・・複合建物の場合、建物の性質がそれぞれ異なり危険度
も増します。そのために用途毎に区画するものです。
例えばデパートの3階以上に劇場が有る場合、劇場と
デパート部分を区画します。
※こうして見ると、防火区画は大規模建築で「住宅には関係無いや」と思われるか
も知れませんが、皆様のお住まいの住宅にも関係があります。
勿論戸建て住宅では無いでしょうが、共同住宅は住戸1軒1軒が防火区画されて
います。だから、共同住宅では類焼がほとんどなく安全な住宅といえます。
だから保険料も安いのかな?
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★編集あとがき★
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台風一過、また元の騒がしい蝉時雨が戻ってきました。蝉にとってもこの台風
10号の襲来は恨めしく感じたことでしょうね。
盆休みが無事に終わるのを期待するばかりです。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
が「建築を愛する皆様」へお送りします。
編集発行:E&A建築企画 事務局
E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
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