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建築知識
 
044号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            044号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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第44号の記事
  1.記事・・・地震・雷・火事・(おやじ)・・・その2
        ・雷 ゴロゴロ!
        ・雷さんは臍より、○○○がお好き!
        ・注意したい高い木の下 
        ・ピカッ!ときたら。
          
  2.用語の説明
  3.編集あとがき
  
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地震・雷・火事・(おやじ)・・・その2
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 先日、身内から「今◯◯◯空港で搭乗するところ。こちらはドシャ降り!」と
 連絡を受け、到着を見計らって車で迎えに行きました。
 雨でも飛行機は余り遅れないだろうと思いながら運転をしていると、突然フロ
 ントガラスに大粒の雨が、ビシャ!・・・ビシャ!・・バシャバシャ!と降り
 出してきました。
 「えっ!こっちも雨?」と今までの天気が嘘のよう。
 そう言えば、天気予報で「後半は前線が不安定になり、・・・」と言っていた
 のを思い出しました。
 その内、ピカッー!バリバリ!ドーン!と暗くなった夜空を稲光が走ります。
 遠くの閃光に、「雷とは、久しぶりだなぁ。」と悠長に構えて居たら、閃光は
 あっちこっちと空全体を染めるようになり、そして近くのビルに「ピカッ!
 ドスーン!」と地響きをして落ちました。
 途端に、大丈夫かな?と不安に駆られてしました。
 
 外は相変わらずのドシャ降りで、ワイパーを最速にしても前の車のテールラン
 プを確認するのがやっとの状態です。

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◆ 雷!  ゴロゴロ!
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 雷が落ちた近くのビルはどうなったでしょう?
 あの衝撃では相当の被害が出たのでは?

 いいえ、そんなことは有りません。高さが20mを越える建物には、建築基準
 法で避雷針の設置が義務づけされています。あのビルも7階建て位でしたので、
 当然避雷針が設置されていたと思いますから被害は無いと思います。

 高い建物ほど雷が落ちやすいのは皆様もご存じですね。でも、20mを越える
 高い建物には避雷針で安全なのです。
 20m以下のビルや、廻りに高い建物がない住宅地の方が危険かも知れません。


 【避雷針】
 
 避雷針は雷から建物を守る働きがありますが、これは建物をバリアーで包んで 
 守るのでは有りません。
 雷を跳ね返すどころか、かえって「雷さん いらっしゃーい!」と導き招く働
 きをします。

 落ちたら困る雷を招くなんて何か変ですが、理屈はこうです。
 雷は大きな電気エネルギーを持っていますから、落ちるとそのエネルギーで建
 物は破壊されます。
 避雷針は電気抵抗の少ない銅線で地球にアースされていますから、避雷針に落
 ちた雷のエネルギーはそのまま地球に直行し放電されてしまいます。
 建物よりも高い位置で雷を待ち受けて、建物に落ちる前に自らが犠牲になって
 雷を導きます。
 犠牲になるって言っても電気的に抵抗しないのでエネルギーは素通しで、避雷
 針は全くの無傷です。「ノレンに腕押し」って感じでしょうか。

 それにしても、あの「ドスーン!」と言う衝撃には身も縮む思いがしますね。


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◆雷さんは臍より、○○○がお好き
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 雷は金持ち(金属)でツンと澄ました背の高い美人がお好き。
 美人かどうかは分かりませんが、とにかく高いものに先に飛びつきますから、
 避雷針は少なくとも建物より高い位置に取り付けます。
 では、どの位高い位置に付けるかと言いますと、垂直線から60度の角度で覆
 われた円錐に建物がすっぽりと納まる位置まで高くします。

 要は、円錐の中はバリアーが張られたように安全です。隣の建物に避雷針が付
 いていて、お宅が60度の中に納まっていたら安全です。
 でも、喜んでばかり居られません。電波障害を受けるかも知れないからです。 

 <ケース1>

               
              /†\
             /60┃60\
            /  ┌─┐\     ──┐
           /┌──┘ │ \      │
          / │┌┐┌┐│  \     │
         /┌─┘└┘└┘│   \    │
        / │┌┐┌┐┌┐│    \   20m以上 
       /  │└┘└┘└┘│     \  жж
      /   │      │      \ │ 
 /\  / /\ │      │ /\ /\ \│
 ┴┼────┴┼─┴──────┴─┴┴─┴┴──┴───
  │     └60度の角度に覆われた隣地の建物も安全!
  │
  └範囲から外れた建物は危険!


 <ケース2>

 20 mを越えて横に長い建物を全部60度の角度で覆うには、避雷針は建物の数
 倍の高さにしなければなりません。それには避雷針1本のために鉄塔を組まな
 ければならず不経済です。
 その場合は、低い避雷針を数多く取り付け、建物全てが円錐の中に納まるよう
 にします。


 
               
          /†\  /†\  /†\
         /60┃60\/ ┃ \/ ┃ \
        /┌─────────────┐\ ───┐
       / │             │ \   │
      /   │             │  \  20m以上
     /    │             │   \ │
 ────────────────────────────┴────

<ケース3>

 ケース2の場合避雷針が何本も立ちみっともないし効率も悪いので、避雷針の
 代わりに銅線を屋上のパラペットに沿ってぐるりと建物を取り巻く方法もあり
 ます。これは避雷導線と言われます。最近のビルは、この方法と避雷新方式の
 併用が多いですね。

          ┌銅線 
        ______      
        \     |\
       | \ ̄ ̄ ̄ ̄\ \┌銅線(4周ぐるりと巻く)
        |   \    \ \
       |   ┌\ ┌銅線\ \
       |   銅線\│   \ \___
        \    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |   |
         \   |□□□□□ |   |  
          \  |□□□□□ |  20m以上
           \ |□□□□□ |  | 
            \ □□□□□ |   |
                          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆注意したい高い木の下
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 ハイキングなどで雷にあったらどうします?

 登山やハイキング中に雷に遭遇するのが一番危険です。山の尾根を歩いていて
 ピカッと光ったら、まず身から金目のものを取り外しましょう。バックル、ネ
 ックレス、・・・。
 尤も登山やハイキングに金目のものを身につけること事態タブーです。

 廻りに身を隠すものが何もなく、貴方自身が最も高い状態になっていたら、雷
 は貴方めがけて落ちてきます。
 そばに1本の大木が有ったとしたらどうします。「寄らば大樹の陰」とばかり
 に木の下に走り込んではいけません。山の樹木は最も雷が落ちやすい状態です。

 「だったら、60度の角度の中にいれば、バリアーがはられて安心でしょう。」

・とんでも無い樹木は落ち易さでは避雷針のようですが、構造は全く違います。
 避雷針は電気抵抗の少ない銅線で地中に導かれて放電しますが、樹木は違います。
 樹木に落ちた雷は幹や枝を伝って来ますが、近くにもっと電気を通しやすい貴方
 が居れば、直ぐに貴方に乗り移ります。
 樹木は避雷針に成り得ませんから、遠くに離れて下さい。

 秋の行楽で山に登る貴方、注意して下さい。 

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◆ピカッ!ときたら。
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 秋の行楽でも何処にも行かないから大丈夫と高をくくっている貴方、インター
 ネットを楽しんでる場合ではないですぞ!
 近くの電柱に落ちたら、電線を通してパソコンに異常電圧が掛かりパンクって
 事にも成りかねませんぞ。
 折角大枚を叩いて買い換えたパソコンやデータが一瞬にしてパーって事になっ
 たら、泣くに泣けなくなります。
 対雷用機器が販売されていますから防御した方がいいですね。

 雷のシーズンは過ぎたといえ、前線の異常で年中起こり得ます。

 「Pika!」「Zudo-n」 やはり雷は怖い「くわばら、くわばら!」
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★用語の説明コーナー★
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避雷針の保護角・・・避雷針がカバーする角度のこと。
          垂直の避雷針に対して、水平方向に60度振った角度を言う。

          但し、危険物取り扱いに関する建物はもっと厳しく、45度
          と定められています。 
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★編集あとがき★
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 空港について途中の雷と雨の凄さを話したら、「何言ってんの!私はその雷の中を
 飛んでたのよ!」と青ざめた顔で言い返されました。
 昔の人は雷が鳴ったら、「くわばら、くわばら」とただ念仏を唱えてたようですが、
 きっと彼女も心の中で「くわばら、くわばら」と念仏を唱えていたのでしょう。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
「Engineer&Architect group建築企画」
  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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