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建築知識
 
046号



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  ◆◇◆                          ☆建築雑知識            046号
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 ■■■■■ Engineer & Architect group 建築企画
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第46号の記事

  1.記事・・・地震・雷・火事・(おやじ)・・・その4
        ・安心できない1981年以降の建物
        ・防げる欠陥住宅
  2.用語の説明
  3.編集あとがき
  
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地震・雷・火事・(おやじ)・・・その4
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 「東海地震」、「南海地震」、「東南海地震」の発生が確実視されていますので、
 今週も先週に引き続き地震をお送りします。
 先週「心配な1981年以前の建物」を書きましたら、読者の皆様から「1981年の何
 月から実施されたのか?」との質問を数件戴きました。
 きっと、ご自宅がこの年に建てられたので新基準で建てられたのかどうか心配な
 さってのことと思われます。

 新耐震構造基準を適用する事は1980年の国会で決められたことですが、その実施
 には準備が必要なこともあり1981年5月からです。
 しかし、自治体によっては事が住民の安全に関することで、基準もはっきりして
 いるので、実施日を待たずに先行して新基準で設計するよう指導した所もありま
 す。また、設計者や建主も、積極的に新基準を取り入れて建てた方も多く居られ
 ますので、1981年5月を境にくっきりと分かれるわけではありません。  
 
 又、「うちの建物は1981年5月以降に出来上がったから安心」と安心してはいけま
 せん。一般的な場合の新耐震構造基準の適用は、1981年の5月から建築確認申請を
 受理されたものを対象に実施されています。
 ですから5月以降の完成と言っても「建築確認申請」が出されたのが5月以前で有
 れば旧基準で設計された可能性は十分有ります。

 「建築確認申請? 何、それ?」・・・・

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◆ 安心できない住宅 (その1)
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 新耐震基準で設計された建物は阪神淡路大震災で、その有効性が示されたと言っ
 てきました。
 ところが、住宅に関しては少し事情が違うんです。これは読者の皆様にとっては
 ちょっとショックな話ですね。・・・続けます。

 建物は新しく建てようとするときや、建て増しするときは資格のある者が設計図
 書を作成し役所に申請しなければなりません。この申請が「建築確認申請」です。
 役所はこの申請図書を、法律に基づいてそれが適法かどうかを審査します。
 構造の審査は1981年5月以降で有れば、新耐震構造基準で審査します。 

 ところが、住宅の場合には、この「建築確認申請」をしないで建設される住宅が
 かなりの数有るのです。いわゆる違法建築です。
 役所で適法かどうか審査されないので、新耐震で建てられているかどうか以前の
 話になってきます。もしかしたら旧基準にも満たないかもしれません。

 新築や増築時に義務づけられている「建築確認申請」を出さない理由はいくつか
 考えられます。

 1.建蔽率や、容積率がオーバーしているので出せない。(建主も納得済み)

 2.資格を持たない者が設計した。(見よう見まねの経験で設計した。)

 3.申請料をケチったため。(一般的には建主負担だが、設計施工の場合建築費
               に含め業者任せにする場合もある。)

 4.申請をすると、役所の中間検査や竣工検査があるので受けたくない。

 まぁー、こんなところでしょうか。
 上記の1.は建主も違反承知で建てる場合です。
      こんなケースは建主自身が違反しているので、悪徳業者につけ込まれ
      手抜きされる例です。

    2.500万円以下の工事は、資格無しでも出来ます。極端にな事を言え
      ばの全くの素人でも工事は出来るのです。
           しかし、設計はどんなに小さくても建築士の資格が必要です。ですか
           ら建築士の資格を持たないところは、設計を外部に依頼します。
      ところが見よう見まねで、自ら設計し施工する業者もいます。

    3.余りにミミッチィ話なので省略。

    4.注文住宅では余り考えられないことですが、建売り住宅の中には良く
      有る話です。建売業者は違法を承知で建てて売るので、役所の検査な
      どとんでも無いことなのですね。
      この手の住宅は建蔽率や容積率がオーバーなだけでなく、欠陥住宅に
      もなりやすのです。
     
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◆ 防げる欠陥住宅
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 「建築確認申請」を行わない事が欠陥住宅を生む一要素ですが、それをチェック
 する方法が有ります。

 1.何らかの理由を言って確認申請を出さないことを奨める業者は要注意。 

 2.建築確認申請を行うと役所で審査され、合法と確認されると確認番号が付い
   て確認申請書の副本が返されます。着工は確認番号が無いと着工できません
   ので、副本で確認番号を確認して下さい。

 3.中間検査(自治体によっては行わないところもある。)や建物が完成すると
   竣工検査が行われます。必ず竣工検査済み書を受け取って下さい。

   業者の中には、建築確認申請は合法的な図面を提出しても、工事は申請と全
   く違う図面で建物を造る者がいます。そうすると当然中間検査も、竣工検査
   も受けられませし、当然検査済み書も有りません。
   しかし、悪徳業者にとっては、中間検査済み書や竣工検査済み書などを全く
   必要としないのです。
   何故なら、住宅販売や建物登記には検査済み書を必要としないからです。
   この辺が悪徳業者をはびこらせている最大の原因ではないでしょうか。

 ※中間検査も竣工検査も受ける気がないのに、どうして確認申請だけは出すのか
  と疑問に思われる方が居られると思います。

  それは、建築現場には確認済書の内容を掲示する義務があり、この制度は広く
  皆様もご存じのことです。もし、この掲示をせずに工事をしていると、違法建
  築を建てていると周辺の住民の方から必ず通報があり、工事はストップしてし
  まいます。ストップどころか、工事中の建物は取り壊しにもなってしまいます。
  だから、確認番号だけは周囲の目もあることだから、とにかくダミーでも何で
  も良いから取って着工したいのです。

  ところが、違法建築でも完成し何も知らない第三者に売られてしまうと、簡単
  に取り壊しも出来なくなります。
  悪徳業者はこのことを十分承知で、「売ってしまえば、こっちのもの」って事
  でしょう。

  何事も「監視の目が無いところに、不正有り」です。他人を疑うなんて厭な世
  の中になってしまいましたが、これが現実ではないでしょうか。

 次回は新耐震基準で建てた住宅「安心できない住宅(その2)」をお送りします。

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★用語の説明コーナー★
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 建築確認申請・・・建築基準法第6条で定められた義務規定。
          建築主は建築しようとするときは、着工前に確認の申請書を
          提出して、建築主事の確認済み書の公布を受けなければなら
          ない。
         (この規定は都市計画区域内に限り、区域外には適用されない。)

          例外規定:防火地域、準防火地域以外で10m2以内の増築、
               改築、移転は申請不要。但し、繰り返しは不可。
 
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★編集あとがき★
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 地震を取り上げるつもりが、いつの間にか建築確認に関する記事に脱線しました。
 でも、こう言う不正が地震でも被害に遭っているのです。
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『建築雑知識』は建築技術者と建築家のグループ
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  が「建築を愛する皆様」へお送りします。
                       編集発行:E&A建築企画 事務局
                         E-mail:jim@kentiku-kikaku.com
                         http://www.kentiku-kikaku.com/


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